Uwatzlla!



CIRCULAR

ABARIKA

2014 ARGENTINA

今年のソロ作もよかったDOLORES MAZZONI(Pf、歌唱等)が参加するプロジェクトの初作
彼女中心ってわけじゃなく、マルチ奏者の男(コラやンゴニ、バラフォンや各種鳴り物等、アフリカ系楽器いろいろを操り、歌う)が同等かそれ以上の存在感。加えてDr & Per の男っちゅう、男女3人組み。一部の曲でG、コントラバス等客演あり。
アフリカ音楽や、ジャズ、インプロのメソッドを練り込んで、新しい響きを探ろうとゆうクリエイティブな姿勢。アフリカのトラッドとオリジナル曲とりまぜて。ほとんどの曲が歌入り、ただし歌声も楽器も音世界を構成する等価のパーツって感じ。
アフリカ成分のうちではポリリズムとミニマル要素にフォーカスしてて、揺らぎを内包したリズムとか訛りを感じさせるウネリ方といったものは、バラフォンのフレージングあたりに垣間見られるものの、全体にはごく控えめ。
アフリカのリズムの揺らぎや訛りって、(ことにスクエアなビートに馴らされた)非ネイティブにとっちゃ取り扱いの難しいもので、そこが巧くて「おぉ」っちゅう驚きは、本作にはない
。彼の地のトラッドを演ってても、どっか端正で上品で、本場物とは違う。
が、これはこれでよし、と思えるんだな。
揺らぎ要素はあんまりないけど、それを補う如くに南米ルーツの匂う瑞々しくしなやかなリズム感が横溢してて、リズム面のニュアンスが痩せた印象はないのよ。ありがちな、アフリカ音楽の生気の足りないレプリカとは一線を画する。
そもそも、単にアフリカネタ囓ってみました止まりじゃなく、そっから新しい音を生み出そうっちゅう意思が感じられる人たちなわけで。その意味じゃ、アフリカのようでアフリカでない(浮遊感があるが芯もある、ちょっと不思議な)音を鳴らすことができてるんじゃないかと。
コンパクトなアンサンブルながら、曲調やフィーチャー楽器に変化をもたせ、単調にせぬ工夫も好印象。
12.10.2014
Block Boundaries

Ryan Teague

2014 UK

英国のコンポーザーの新作
エクスペリメンタル系からCMやサントラといった商売物まで手がけ、自身マルチ奏者であるうえ打ち込みもオーケストラも操り、ソロ作の道具立てもその都度変化あり、とゆう幅のあるアプローチの人。
通底する持ち味をざっくり表せば、隙のない巧者の音なれど温性あり、ってとこか

今作、無機的ミニマルによってクールな都市のサウンドを表現したとかそんなような話で、ちょいと引っかかって。
聴いてみたら、過去作では背景で鳴ってることが多かったミニマルパターンが主役に据えられてて、その質感が、サウンド自体が出しゃばりすぎることなく中低温のBGM的快感をキープするようなの、を求めていた俺に響いたのよ

巧緻な美メロも癒しも実験的刺激も要らんから、BGM的機能性に特化して淡々と頼むよ(ただ、あくまで心地いい音色でね)、とゆうわがままオーダーに適うものとして、今作で繰り出される打ち込みミニマル、なかなかいい線。
ミニマルパターンは、音色も旋律もアフリカンな匂い漂うものが多く、でも非人力のスクエアな運動性で、俺の好きな人肌のテクノに一脈通じるとこがあって、よろし。
ミニマルパターン以外の要素は、しっかり脇役に徹していて、よし。さらに、長尺にしてミニマルサウンドなりにねちっこく盛り上がってくような演出をせず、一曲ほどほどの長さで次へいく構成が、よし。
アルバムとしての押し出しや斬新さはないけど、いいの。
音に向き合わされるような強さのある主張をして来ず、なんも考えずにイヤホンから流せる、ただ耳なじみのいい音(その塩梅はもちろん人それぞれ)って、意外と見つかりにくいから。
ほんとは、スタイリッシュなアーバンサウンドとして聴いてほしいのかもだけど。邪道ですいません。
11.23.2014
Leaving Town - EP

Bearded Gypsy Band

2014 AUSTRALIA

これまた豪州の若人4人組みの6曲入りEP、初作
フィドル & マンドリン、G、Bの野郎3人が歌い、Drの娘さんは基本歌わずとゆう、多少珍しいフォーム。
マヌーシュスイングやらケルティックやらの匂い濃き音(Django Reinhardt と Andrew Bird がフェイバリット ! )で
、ルーツ系の新鋭として注目されてる様子もあるが、アイデンティティはどっちかっつったらインディロック(広義のね)な奴らなんじゃなかろうか。
自分らのメロディを載せるのに最もイカスと思う器がそうゆう方面の音だったんであって、その道で精進してくこと自体が目標とゆうわけじゃないといいますか。
とはいえ、そっちのマエストロ達に比べりゃかなり粗削りな演奏でも、それが拙さや
薄さよりも若々しさに振れてんのが好ましい。小器用にまとまるよりか全然いい。
あと、例えばマヌーシュスイングの曲ならそれで、他に余計な要素を混ぜ込まないのがいいね。
お約束の堅守が尊ばれる正調トラッドやベタベタな大衆芸能とは違うスタンスで、となるとさ、こうゆう手札って、パンクノリで乱暴に下品に、とか、エレクトロで微妙に安っぽく、とかなりがちじゃん?
そこを、けっこうストレートな攻め方でいくのがよかった。編成的にもわりとミニマムだし。この不純物の少なさが新鮮よ。
これから如何に熟していくか、ちょっと楽しみであります。
11.9.2014
Tender Thoughts

Tundra

2014 AUSTRALIA

豪州の野郎4人組み(G & Vo、G、B、Dr)の6曲入りEP。まとまったもんとしては初作かな。
ジャケ見るとあんまり愛嬌のないエクスペリメンタル系の中堅どころなぞを想像するが、もう見るからに若造たちの奏でるインディポップなのだった。
青さの残る柔らかな歌声。巧緻な美メロとは違うけど親しみやすいメロディで、アコギ弾き語りでも成立する丈夫さがある。
サウンドはミドルテンポ中心で、反復リフを多用し、マスな匂いも漂う。ただし歌が主役なんで、演奏面のインパクトやトンガリは控えめ。
そんな歌とサウンドがえぇ具合になじんだマイルドなネジレ系。インディな手触りではあれど、ポップ成分は豊富。
これ、歌かサウンドか、どっちか一方にもっと偏ってたら、俺きっとスルーしたろうね。マス/テクニカル系で、メロウな音色のGがテロテロさえずってるような、重心高めなのは好みじゃないし(どっちかといやGはそっち系だけど、Drの落ち着きが重心を下げてる)。豪州産インディってブランドにもさほどひかれないし。
にもかかわらず、このバランスのおかげで、俺のネガティブチェックのいわばニッチな領域にスルッと入り込んだとゆうか。ちょい変な歌物として「アリ」かな、と。
因みに、演奏に驚くよな切れ味はないけど、若いわりに抑制が効いててよろし。無駄に手数が多くてしかもそれに溺れてる風じゃないのには、好感がもてるね。
9.20.2014
El Entrarriano

Los Mutantes Del Parana

2013 ARGENTINA

G、G & Pf、コントラバスからなる野郎トリオ「パラナー川の異族」の作。
3人だけでも腰の据わった音を出力できるが、曲により管、Dr、鳴り物、ハモンド等々さまざまな客演を加え、編成は柔軟。基本インストで、コーラスも多少入る。
大衆音楽のミクスチャー。曲中でネタ同士を混ぜ合わすミクスチャーじゃなく、曲毎にメインひとネタ、それを並べるカタログ構成。地元アルゼンチンやブラジルのルーツリズムに、クンビア、フラメンコ、マヌーシュスイング等、汎ラテン世界のギター系大衆音楽を咀嚼し、自分らのスタイルで奏でる。オリジナル中心。
フォルクローレ系の凛然とした空気感は薄いが、大衆音楽に軸足を置くにふさわしく、ほどほど猥雑でタフで、懐こい情感のある音世界。
奇抜なネタ揃えでもなくエッジの立った風じゃないけれど、コンパクトな曲を多種次々繰り出すテンポや、盛りすぎずしてなお音像を貧弱にせぬ工夫なんかに、同時代的なエディットセンスを感じさせ、ダメなユルさはない。
そして何より、音楽に対する温性や闊達さが先に立つのがチャーミング。
ミクスチャーってスタイルも今や定着してて、そうゆうスタイルの提示止まりじゃ始まんない。そのネタ揃えのうえにどんな世界を味わわせてくれんの? 本場者じゃない奴がそのネタに手を出すことでどんな異化効果が期待できんの? といったその先の段階をシビアに吟味してしまうわけで。
その点こいつらの場合、地理的ミクスチャーを土台にして大衆音楽の現在進行形を見せてくれてる。気負いは感じないけど、案外フロントライン近くにいるのかも。生真面目だけどネタの消化で手一杯とか、ネタ揃え自慢の小賢しさとか、「そこ止まり」を軽く超えて、音が生きてるのが頼もしく好ましい。
あたくしカタログ構成が好物にゃ違いないが、さほどでもないネタ揃えでちんまりまとまってるミクスチャー物なんかは、ハンパ加減がかえって気に障るとゆうか。この頃はその辺が臭うと、つまみ聴きの時点で「もうけっこう」ってケースが少なくない。それでも残るの、こんな音でしたわ。
9.14.2014
PUNTO de IMAGINACION

DOLORES MAZZONI

2014 ARGENTINA

繊細な作風にして器楽的技巧も備えた♀SSWの新作。
ピアノを操り、本作ではマンドリンも弾く。澄んでるけど、くぐもりがあってパーンと抜けない声質。といっても、落ち着いて聴かせるタイプの音とのマッチングにゃ支障なし。

今回のバックは、フレットレスB♂、G♂、鳴り物と副唱♀、副唱♀とゆう編成。このメンツの他、2、3曲で客演歌唱が加わる程度の、シンプルといっていいアンサンブルなれど、やはりシンプルなつくりだった前作よか俄然よくなった、てか俺好み。
前作はギタリストと組んでのサウンドメイクで、当然Gのフィーチャー度が高く、「普通に」繊細で技巧もあるSSW物って感じで、それ以上の印象がなかった。
が、今回、繊細かつ技巧派っちゅう主役の佇まいは変わらずとも、それを盛り立てるバックの姿がずんと際立ち魅力を増してる。
まずなんつっても、小気味よく動くフレットレスBの心地よさ。柔らかくほどよい重りのあるフレットレスBの音色が、流麗とゆうよりはパーカッシブに鳴るピアノとともにリズムを牽引することで、アンサンブルの発する器楽的躍動性がちょこまかしたものにならず、重心低めでかっこいい。
それから、重層的で締まりあるフィメールコーラスもいいし、けっこう登場する本人のマンドリンも、例えばチャランゴだった場合に想像される音的親和性よりか少しハズれた位置で存在感を放ってる。
このフロント+バック、なかなかいいサウンドフォームじゃないすか。センシティブと朴訥、ストイックと盛り盛りだくさんの間をいって、フレッシュかつ緊張感のある着地点。
ブエノスアイレス新世代にゃ食指が鈍り気味、SHAGRADA系なんかの高尚ぶりにゃおいてきぼり気味の昨今、アルゼンチン産では久々、耳の悦びが先んじる音に出会いましたわ。
8.12.2014
SAND+SILENCE

THE ROSEBUDS

2014 USA

ノースカロライナ産、男女デュオの新作。
バンドとして出発するも二人組みになって久しいが、ありがちな宅録系じゃなく、作品もライブも客演入れるなどして人力合奏がベースの人たち。因みにそうゆう音楽的交流からの縁で、本作はBon Iver の人がプロデュース。

デュオ両人とも曲を書き、歌い、いろいろと奏するが、ライブでの主楽器は♂がG、♀は鍵盤。主唱の比率はかねて♂>♀だったが、今回はもはや全曲♂主唱。ポップス映えのする、甘味ある素直な歌声。
んで今作、ジャケの如く、夏物ポップスのアルバムとはいえる。
が、ただ開放的で屈託ない夏ソング集じゃない。といって、夏的な記号をちりばめた職人芸サウンドってんでもなく…。
出だしから俺の琴線をくすぐる、漠たる翳りは何ぞ。俺、そこに80年代のあのサニーな空疎感に通ずるものを嗅ぎ取ってしまったのよ。
メロのセンスやサウンドの密度なんかからして、実際80s味もある程度意識したアルバムだとは思うのよ。ただ、シンセを前面に出したり往時っぽい生硬な打ち込みを引用するような直接的アプローチとは違うわけで、にもかかわらずあの頃のヴァニティな空気を醸してるとゆうか、そこが新鮮。
そう思うと、80sよかもっとオールディーズな調子の曲も、明るいのにどっかやるせなく、80s的空気の中で鳴ってるよな気がしてくるから不思議。
この人たちは佳曲を安定供給できるタイプで、そのメロディは切なくもキャッチーで。ポップスを語る語彙の貧しい俺にゃ、ともすると「グッドメロディ多し」の他、ゆうこと出てこなくなっちゃう。となるとつい「もひとつわかりやすい押し出しや振り切れどころがあればもっといいのに」なんて、贅沢な文句垂れちゃったりするわけで。
そんなんだから、今作でいきなり匂う80sっぽさ、俺にはかなりなフック足り得てる、と。そこに釣られて聴き進むほどに、彼らの本領たる胸にくるメロディが次々と繰り出されるわけですよ。
とかそんな屁理屈こねてないで、落ち着いたポップスの一作として素直に聴けりゃそれで何の問題もないんだろけども。この夏物、はじけない男(=俺)にはさてもよく染みるねぇ。
8.7.2014
UNDELETABLE

SIMPLE

2014 BELGIUM

かつて X-Legged Sally、今やベルギーアヴァン界のキーパーソンらしきギタリスト Pierre Vervloesem が様々なフォームで提供する、P. V. Presents シリーズの最新作。
今回はSIMPLEなる名義の、Sx、鍵盤、B、Drとゆう人力カルテット。Pierre Vervloesem はGでなくB担当。饒舌すぎず、でもBとしちゃ能弁で、ギタリスト的にはさほど好みの人じゃなかったが、これはよろし。
音は、ユーモラスでモンドでラウンジな、レトロなTVサントラや軽音楽っぽいメロディを、アヴァンな文法で演るとゆう。
器楽的複雑さの追求が売りで、ヴァイタルな押し出しもガツンとあるってぇと、マスロックっちゅう身も蓋もなく潔い手札が出てくる前は、それこそ X-Legged Sally なんかを先駆とするアヴァン系ジャズロックみたいなのが一大潮流だったわけで。そうゆう流れをくむところの「アヴァン」ね。
まぁ今日び新モードとはいえないし、編成からしても、新鮮さより懐かしさを覚える音色で、驚くような奇天烈な仕掛けはなし。リズムも、複雑骨折しまくるほどでなく訛るでなく、概ね素直なテンポで刻まれる。
じゃ、今作の美点は何なのかっつったらば。
インプロ合戦とかヒステリックなノイズとか延々ドローンとか、アヴァン系の奏者がついそっち方向でハジケたり流したりしたくなりがちだろう展開をなるたけ排して、構築感のある調子をキープするサウンド。そこよ。
カオスな調子が続くとじきに飽きちゃう俺は、できればそっちに行かずしてしっかりかっこいいアヴァン物を常々求めてるけど、カオスったらアヴァン系の華でもあるじゃん? そうゆうの抜きな、ある意味ストイックなのってけっこう得難いのよね。
カオス状態や偶発性に拠らず、いわば予定調和な(つっても、憶えるだけでも大変そうな凝ったディティールの連続だが)成果を淡々と並べたつくりをして SIMPLE なのかはいざ知らず。
おかげさまで今作、強烈さはないものの、微弱電流でほぐされ続けるようなえぇ具合。マス物の電撃体験ばっか漁ってる昨今、たまにゃこうゆう低周波マッサージも乙、と。
7.6.2014
ARTERY

BRONTIDE

2014 UK

英国の野郎Gトリオの新作。全編ロックインスト。
俺にとってマス物の醍醐味とは、すっきりした編成の粒立ちよい音色たち、そのメカニカルな運動性と絡み、に尽きる。手数の多さやフレーズのネジクレ度にはさほどこだわらないし、歌メロも凝った仕掛けも半端に盛るくらいなら要らない。
それゆえマス物に対しては、いかに雑な耳の俺といえど、楽器の鳴りや音像の強度への要求値がぐんと上がるってもんで。多少のヘボさは許容して新鮮なアイデアや情感に焦点を絞るって聴き方じゃないからね。ちょい聴きでビートの軽さや音像のペラさを感じると、それ以上チェックする気が失せることもままありますです実際。
で、このトリオ。ソリッドで切れ味あるプレイによるマスな展開がなかなかかっこいい。
しかしながら、そうゆうのはアルバム全体からしてせいぜい3〜4割ほど。より優勢なのは、ミドルテンポでけっこう叙情的な、例えばオールドスクールなプログレに漂うロマンチシズムや英国牧歌風味なんかを、簡素にスタイリッシュに表現したようなサウンドなんだな。
だもんで、高速マス全開とか期待すっと物足りないのは確か。
でもね、彼ら、ことさらタフな音ってわけじゃないものの(醸す雰囲気も音の肌合いも鋭角的だし)、重り具合はちゃんとある。だから、マス要素の薄いパートが続いても、さしあたり音が「軽い」「ペラい」で興が殺がれることはないのよ。んで、それとの対比もあって、マス展開が待ってました的に感じられるっちゅうか。
かなり際どいバランスではあれど、結果的には案外飽きずに聴ける一作なんでした。
7.1.2014
WORKING OUT

ARTHUR BEATRICE

2014 UK

英国4人組みの初作。♂(Vo、G、鍵盤)、♀(Vo、鍵盤)、♂B、♂Dr。
♂(微温性)と♀(涼感ドライ)の歌唱はともに落ち着いてる。ミドルテンポ中心でシンプルなサウンドと相俟って、聴かせるタイプのインディロック。とはいえ渋好みに傾きすぎず、瑞々しさあり。
こうゆう、カタログ的多彩さとは逆方向で、突飛なことしてるわけでもない英米のロックバンドったら、俺のあんまり喰いつかない部類に違いない。
じゃ何故にといえば、そのいい意味で金太郎飴な質感が肌に合ったことに尽きるね。
具体的には、ストイックに映る手前までシェイプされた演奏や空気の締まり具合。曇り空な主調でハジケはしないが、各自内向せず、皆で編み上げていこうとゆう意思の感じられる音。曲中におけるゆるやかで控えめな高まりやリズムの小気味いい横揺れ。
そしてやっぱツインヴォーカル。主唱が男女交替することでサウンドの色合いは変わるがトーンは変わらず。てか、2種の歌声があるのがそもそもこのバンド本来の音なのだと思わせるまとまり感。
去年、この人たちのスタジオライブ映像観て、これは端正でよいものだと思っててさ。待ってたアルバム、全編見事にその感じよ。
で、生演奏とさして変わらぬ密度の音像に軽く驚きつつ聴くうち、こりゃ、起伏に富むよりも同じトーンが続くからこそ心地いいのだと思えてくるわけですよ。
時節柄、春愁をおぼえつつ歩くときの御供なんぞにもよろし。
3.30.2014
バハマ・ベルリン・パリ
加藤和彦ヨーロッパ3部作

加藤和彦

2014 JAPAN

1980年前後に作られたいわゆるヨーロッパ3部作(今企画としては公式名称)の、その資料本の付録とゆう形式でのリイシュー。
ついに、オリジナル音源どおりの内容でのCD化。
佳曲「ルムバ・アメリカン」のあのちょん切られたイントロが修復されぬままなことひとつとっても、過去のCD版ことごとく、あるべき姿に対する欠損状態とゆう感はぬぐえなかったわけで。諦めかけてただけに、事情はどうあれ完全復刻は祝着。
あらためて思うけど、今日の耳で聴いてもストレスを感じないしっかりした作りがいいやね。サウンドメイクにも演奏にもショボさがない。
そして、エキゾテイストポップとしての心地よさ。
つってもそのエキゾは、欧州大衆音楽やタンゴやバハマ産のリアルな響きとは違う、あえていえばフェイク。なんだけど、その甘美なるまやかしは、本場物よりなじみがよかったりすんのよ。
ヨーロピア〜ンにしてもオーシャンリゾートの匂いにしても、日本人が抱く「それっぽさ」のエッセンスを、決して安っぽくなく、気どりばかりを上滑りさせず、絶妙にスマートな形にこねあげたエキゾ風味。
これ、思い通りに仕上がるもんなら大々的に本場の音使ってやりたかったんだろか。もしそうだったら、俺はここまで惹かれたろうか。
何にせよ、自前でこうゆうフェイクをこしらえちゃうとこにむしろ、スタイリッシュで鳴らした加藤和彦の面目躍如たるをみるね。
あと、当時のシングル曲「ソルティ・ドッグ」もボートラとして初CD
されてる。(iTunesでは既発)
やっぱ大好きだわ、俺、この曲。アウトロの、切ないシンセの音色とベースラインと。あの絡みがたまらん。アウトロだけ延々聴き続けたいくらい。
3.22.2014
Girls with Fun Haircuts

BEARCUBBIN'!

2014 USA

オレゴンはポートランドの野郎トリオの新作。G & 鍵盤、B、Dr 。
米国インディ者っぽいDr(スマパンでも叩いてるそうな)はともかく、髭面の山男な風貌のGとB見ればディープなサイケ物でも演ってそうだが、音は端正なマス系(ループロックって言い方、いいね)。
過去作のいかにもインディ味なイラストから今回こんなジャケになって、音像も相応に洗練されてきましたないい意味で。メジャー展開後のバトルズっぽくもあるが、あっちほど饒舌でなく才気が尖ってもおらず、そこが好ましい。今作では歌なし(それでよかったと思う)。
構築感があり適度にポップな、俺の好みからしてとても模範的なマス系。革新的なサウンドではないが(この方面ではある意味王道的に安定したスタイル)、余計なこと考えず彼らのループロックの心地よさにひたり続けられる。
で、その心地よさの肝がドラミング。
スクエアなノリで、輪郭のはっきりしたプレイ。打撃の重りもじゅうぶん。録り音もいい。
で。で。聴きつつ思いついてしまったのよ。このニュアンスは……、青山純じゃねぇのって。
青山純ほどタメはないし、あの独得な語彙(シンガーのバッキングじゃなく、キリングタイムなんかのひねくれ系で炸裂するパターンやキメのことよ)まで似てるってことは、さすがにない。けど匂うのよ俺には、相通ずるものが。
訃報を機にいろいろ聴き直してみて、青山純って得難いドラマーだったと俺なりに再認識したこの冬。影響受けたドラマーはいっぱいいるだろうけど、青山純に替わる存在って未だ知らないもんな。それが、米国産のしかもこっち方面に、意外にも似たタイプを見つけようとはねぇ。
3.5.2014
VagaMundo GaDge

ZARAGRAF

2014 FRANCE

此処は作品本位を旨とするんで、いかにマイフェイバリットなアーティストの新作といえど、「そこそこのデキ」以外にゆうことが思いつかきゃ載せない(近年はことさらそれを意識してる)。左様に非情なる意思のもとでのチェックをば、こたびも突破してきたZARAGRAFの新作。
ジプシー〜バルカンを主札にもつ大衆音楽ミクスチャーで、生音の小所帯で。ずっと変わらぬ佇まいだのに、俺の興味をそらさぬその訴求力はどこから?
まずいえるのは、そのハイレベルなバランスのよさ
。この方面のミクスチャー系も数あれど、俺にはZARAGRAFが指標となってるからね。持ち札の咀嚼度とヴァイタリティ、アナログな手法と同時代的なセンス、愛嬌と品性といった諸々のバランスについて、どっかで少なからぬ妥協をしつつ聴かなきゃならない手合いだったら、俺は安心してZARAGRAFのほうを聴くよってこと、間々あるもの。
と、そこへもってきて、やっぱMIRA姐さんの声よ。サウンドの安定感が予定調和に、さらに飽きへとつながる前に、あの大人可愛い歌声に耳をつかまれちゃう。俺にとっちゃ実にタフなチャームポイント。
てな勘所は今回も外さぬ仕上がりなんだが、サウンド的にはちょいと手がかかってる。
ライブ演奏時の4人による出音とさほど大きな隔たりはなかった過去作に比して、今作ではスタジオ録音の技がやや増。歌声の重ね方とか音響的な奥行き感の演出とか。つーても、あくまでZARAGRAFとしては、よ。ポップミュージック一般からすりゃかわいいもんです。

そいでもって、気になるのがジャケ。
ダブルベースやサックスのシルエットが見えて、実際、曲によりその音色も聴こえる。単なる客演なのか正式増員なのか。他の情報からは判断できかねるのよ今んとこ。
俺は、これまでの4人(最初期はBがいたけど)による小世界の、過不足ない密度が好きなんだよね。願わくば所帯を大きくしてほしかないなぁ。
2.10.2014
I Want to See Pulaski at Night

Andrew Bird

2013 USA

シカゴのSSWの新作にして、ほとんどインスト作(歌は一箇所だけ入る)。
Gとストリングスをメインに、少数の音色を重ねたアンサンブル。打楽器のビートはなし。
アルバム十数枚に及ぶ彼のキャリアでも、まるまるインスト作ってのは変化球に違いない。けど、インスト曲なら過去にも演ってきてるし(SSWつうてもVinを主力とするマルチ奏者でもあるわけで、そもそもインスト上等だよねきっと)、チェンバーポップが主調かと思いきや電化アンビエントなアルバム作ったりもするあたりからして、決まったスタイルにこだわる人じゃないみたい。てか、とにかく歌ありきってわけじゃなく、歌も含めたトータルなサウンドデザインが自分にとっての表現ってタイプと思われ

で、そうゆう資質が、今回、歌物って縛りをとっぱらっちゃうことで、より鮮やかに発現したんじゃないか。
いや、歌がダメってこたないのよ。ただ、過去作をチェックしたときには、ソツなくできてる感が先に立って、「まぁ悪かない」止まりだった。それがこの度、一聴、グイッとつかまれたわけですよ。
まず不思議と東洋的にも聴こえる典雅な弦の調べが素敵。それと折り目正しく生色もあるサウンドテクスチャー。
ミニマル要素のあるチェンバーインストをポストクラシカル系とDIY系に大きく分けるとすれば、それぞれに抱きがちな不満ってのが俺にはあって。前者なら気取りと貧血気味なとこ、後者なら構築感とスクエア感のユルさ。そのどちらにも陥らぬしなやかな質感がいいんだな。
そして、かのPenguin Cafe Orch.に通じる如き、温性あるミントな空気感もまた快し、と。
1.27.2014
THE BRIEFCASE

BANGLADEAFY!

2013 USA

NY拠点、B & Dr、野郎デュオの作。
Bは鍵盤と歌唱(てかシャウト)も。Drのルーツがバングラデシュの由。
6曲入りEPで、だいたいが1曲2分台の瞬発型。ミニマム編成の複雑系ハードコアなんで、そもそも体力的に長尺は無理だろう。なんにせよ凝縮タイプなのは俺好み。
本作では多少音を重ねてるけど、ライブ映像観るとBはせわしいタッピングの合間にシンセ鳴らしてシャウトして(ガタイのいい兄ちゃんが首筋に太い血管浮かせてね)、Drは手数多くしてトリッキーなプレイの連続と、生演奏フルスロットルよ。
だんだんに昇ってくグルーヴに身を委ね、じゃなく、「今この瞬間」を猛烈な勢いで積み上げてくような、息づまる数百秒。
テクニカル/マス系の濃度が高く、ノイズ轟音エモドローン等々、俺的に弛緩してしまう要素がごく少ないのが麗しい。しかも技巧にダイナミズムが伴ってる。ましてそれがデュオ形態となれば、ちょいと掘り出し物かと。
とまぁ基本ゴツい肌触りのやつらではあるんだけど、ただ強面ってわけでもなくって。スタジオ録音の片づいた音像だと、意外にメロディアスで茶目っ気あるとこもよくわかって、それもよし。
1.7.2014
LIVE TO GO
UNBELTIPO LIVE VIDEO(DVD)

UNBELTIPO

2013 JAPAN

過去3年ほどからセレクトしたライブ映像集(DVD)。客演なし、Gトリオ編成オンリー。
後付けのヴィジュアル効果などはなく、演奏そのものがゾロリと提出される。
ぶっちゃけYouTubeに上がってるライブ動画
を観てるよな感触もあるが、カメラの寄り引きやアングルの変化はあるんで、実際会場で観るより奏者の手元足元はずっとよくわかる。元より凝ったステージ演出なんぞないバンドであることだし、近年の姿の記録として、ま、不足はない。
驚くような新機軸の未発表曲が入ってたりってこともないんで、自ずと、このトリオの近過去における到達点をじっくり検分するような鑑賞姿勢になるわけだ。

っちゅうことで、あらためて思うのはね。ほとんど人力駆動になってるな、と。印象的なリズムループとか使う曲は減って、GやBはエフェクツバリバリなれどもあくまでリアルタイムで操る音が中心。
いやこのアナログサウンドは腹に響くね。
当然ながらハードエッジなエディットを施された録音作よりサウンドの肌理は粗いけれど、それでも、いやむしろこれを生で演ってるってのがね。相当に特異な地点まで来ちゃってる証じゃないかと。
単純なわり算だけじゃ表せないリズムの綾やメロディに漂うとぼけた味わいといった精妙複雑な要素と、わかりやすく豪快なロック的語彙をひとつのサウンドに練り上げるスキルが、ここまでこなれてる例を他に知らないな俺は。
似たようなリズムのアプローチをするバンドがたまにいても、UBTと比べると大概はずっと生硬に聴こえるし。とぼけた味がネタ的に使われるんじゃなく、その味あってこそ、そいつらのオリジナリティだっちゅう本質感があって、でも脱力系とかじゃなく正面からかっこいい(構築感に貫かれていながらヴァイタル。変にささくれたとこのない、余裕の佇まい)。
そうゆうのって、ちょっと他に見当たらないよねぇ。どっかにいる?
12.23.2013
MAOUCHE DE GREC

GADJO DILO

2013 GREECE

ラインハルトの流れを汲むマヌーシュジャズの今日的仕様を標榜するギリシャのグループの初作
生G×2、Vin、ダブルベース、アコーディオンの野郎たちと、歌のお姐ちゃんとゆう6人組み。
非電化生演奏にして無添加な音なのに、突飛な手札なんてないのに、今様を謳うだけあって、なるほどどこかモダンな匂い。なんでだろ。
ほどよく肉付きのある編成。王道的生楽器が揃い、華やぎとともに品もある。下手にビートを持ち込まないことにより生Gの牽引するスイングリズムが堪能でき、それがかえって洒脱感を醸している。歌物もインストもあり、マヌーシュジャズとゆう主軸がブレぬ範囲で近縁の大衆音楽の要素をブレンドし、それだけ表情に幅がある。等々。
ともあれ、素朴な懐古趣味でも、その安っぽいアップデート版でもなく、同時代的に色艶の感じられる大衆音楽として響くのは確かだな。
とゆうようなことはさておき…。
肝はね、歌なのよ。
ギリシャのグループなのに。マヌーシュスイングなのに。歌ってるのは、なんと美空ドレミ(ex.ビジネス)!!!
なわきゃないが、声、そっくり。歌い方までそっくりで驚いた。
即ち、マイフェイバリットど真ん中であるところの、適度に擦れて愛嬌ある歌声。しかもそれが載るサウンドは、下手な混じり物のないモダンマヌーシュときた。たまらん。
11.15.2013
lume, lume

The Lemon Bucket Orkestra

2012 CANADA

トロント発、max15人の大所帯
Vin & ♂、Vin♀、管7本(Tp、Tb、Sx、Cl、フリューゲルホルン、スーザフォン、Sopilkaってウクライナの笛)、鳴り物2人、ダンサーのお姐ちゃん2人(片方は歌も)、AG、アコーディオン。
Balkan-klezmer-gypsy-party-punk-superband って肩書き。レパートリーのメインはクレツマーといえようが、ノリはバルカン〜ジプシー(合いの手の入れ方、ブラスの厚み、踊り子の存在 etc.)。で、ビートに対する意識(高速2ビートの強調)がパンクってとこか。そんな重層構造。
こうゆう大所帯ってさ、クリエイティビティの大部分を中心人物に負ってて、あとのメンツはいち奏者以上でも以下でもないって、ありがちじゃない。その点こちらさんは、サウンドデザインに関われる器量と全体見渡せるセンスをもった人材が豊富なんじゃなかろか。
見た目はアマチュアっぽいとこもあるけど、凡才たちが趣味の延長レベルでワイワイやってるのとはかなり隔たりがあると思う。ミュージシャンシップが行き渡ってるとゆうか、演奏には凄みすら感じられる。
例えば、Dr & Bや電気楽器なしでも線の細さはなく、リズム面も堅く腰がある。難度高そな旋律のディテールも弾き切れてる。ひたすらユニゾンで突っ走るんでなく、しっかりとメリハリを考えたアンサンブル等々。
それに、中東欧ツアーなんぞも場数踏んでるようだし、ステージ外でのパフォーマンスにも積極的みたい。そうゆう機動力を発揮するのって、やっぱ勢いだけじゃ厳しいでしょ。
そして、ここの本領はライブだね。アルバムは作品ってよりも記録かな。だとしても、ダイナミズムを失うことなく、ライブよりタイトな質感でパッケージングできてんだから、盤にする意味もあるってもんよ。むしろ変に凝った音作りをしないでよかった。
ともかく、この方面では久々に腹応えある音に出会えたのよね。
広く浅くなミクスチャー系と違い、クレツマー〜バルカン〜ジプシー方面に絞った音色を堪能できるし。トラッド系よりグルーヴィ、大衆芸能系より肌理細やかだし。アタマは使っててもTzadik系ほど尖ってないのもいい。
高速2ビートで突進する管弦にゃ血がたぎるね。しかもこの大編成にしてこの安定感。意外といそうでいない存在かもしれん。
10.25.2013
MILAGROS

MILAGROS TORRECILLA

2013 ARGENTINA

フォルクローレ系SSW のお姐ちゃんの作。プロデュースはMARIANA BARAJ。
8割方カバー
。曲調は清澄フォルクローレだけでなく、情感あるGと歌でメランコリアを醸すようなのもけっこうある。
潤いと温もりある素直な歌声に加えGやチャランゴや鳴り物も操る当人、共同でアレンジも手がける♂(G、歌唱)、鳴り物やコーラスのMARIANA BARAJ、の3人がプロダクションの核であり、そのままサウンドの骨格でもある。そこへ、いくつかの曲でアコーディオンや笛の客演が加わるとゆうミニマム編成。
全体を通じての和らいだ口当たりは当人の持ち味だろうけど、そっちに流れすぎることなく、ほどほどに締まって整理された音像に仕上がってんのは、MARIANA BARAJプロデュースの効果だろうかね。
歌のリラックスした佇まいと好対照に、鳴り物やコーラスの配し方にはきっちり考えられた感がある。そこが MARIANA BARAJ っぽい。彼女は意思的構築的で硬質なタイプでしょ。エェ具合に相補効果が出てるんじゃないかと。
MARIANA BARAJ が、今作みたいに自身とは違う(もっと柔らかめな)質感の音の締め役として機能すると、先鋭フォルクローレ優等生な彼女のソロよか気安く楽しめていいかも、なんて思ったり。
10.20.2013
OFFRAMP RODEO

THE DESOTO CAUCUS

2013 DENMARK/USA

HOWE GELB のGIANT SANDで活動してきたデンマーク男3人が始めたグループの新作。デンマークと米国を行き来して制作されたようで、ドイツのレーベルから。
各人いろいろ楽器をこなすとこや、人員構成がわかりにくいとこ(正式メンバーは4人? もっと?)なんか、こちらもex.GIANT SANDである CALEXICO と似てる。

んで音も、GIANT SANDやCALEXICO の歌物を淡くしたようなってのが、まぁ手っ取り早くはある。ってゆうと、なんか本物未満な音みたいだけどさ。そうでなくて。
アリゾナ発の砂っぽい米国音楽って、デニッシュメンにとっちゃ、根本ではエキゾチックなもんだよねたぶん。そうゆう音楽を、HOWE GELBとともにいわばネイティブのスタンスで奏でるんじゃなくて、北からやってきた異邦人として、自分らの温度感で表現してみましたって感じ。微寒色のフィルターがかかったオルタナウエスタン。
音響的な作り込みが抑えめなのも、淡い印象につながってるね。歌なんか、ホームメイド感すら漂う飾らぬ響き。
米国音楽に入れ込んでんのは間違いないにせよ、そこに浸かりきるんでなく、あくまで彼ら自身のグッドメロディを追求すんのが上位のプライオリティ。
そんな風な腰の据わりっぷりもよろし。
まぎれもなくGIANT SAND〜CALEXICO に連なる音でありながら、北欧的淡麗/清涼による異化効果がなかなか新鮮なんでした。
10.20.2013
ESLAVOSAMBA

CACA MACHADO

2013 BRASIL

音楽史家でもあり公的文化事業の音楽監督なども務めたっちゅうSSWが、ベテランから先鋭までの人脈を動員して放つソロ。
管弦鳴り物などの人力合奏が主軸
。そこにエフェクツなどの仕掛けをひと匙。当人の歌の他、多彩な男女客演歌唱。
引き算発想の洗練されたサウンドメイクや抑制の効いたトーンに作風が表れてる。当人の落ち着いた歌はそんな作風にマッチしてるが、客演歌唱諸氏の存在感もあって、今作における佇まいはSSWってよりソロプロジェクトのディレクターって感じ。
硬めで箔のあるキャリアをもつ御仁が満を持しての意欲作といったところかしらんが、トンガリ方向にはりきりすぎて大衆物として取っつきにくかったりはしない。どころか逆に、エクスペリメンタル系としちゃ地味目ながら、安定した親しみやすさがある。わかりやすい刺激や新しさは置いても、まずは耳なじみのよい音なんだな。
そんな第一印象の影に、ですよ。
「『これはサンバじゃない』とまではいえない。ならこれは、サンバのニュータイプなのか」と聴く耳も揺れるジャンルのフロンティアにおいて、けっこうありふれた道具で、その使いようの工夫でもって冒険しよう、とゆうような

この肌触り、俺が昨今の南米オルタナに欲するものなのよ、とても。
いや、何も南米物に限った話じゃないか

突飛なミクスチャーやハイテク飛び道具を偏重しない。贅肉がなく骨格的でありつつ、どっかヘン。俺がオルタナサウンドに求めるカッコよさを突き詰めれば、ひとつにはそうゆうの。
過剰性を追求するオルタナだって、そりゃ好きよ。けどそっちは、聴き手としてエナジーが要るからね。過剰さにつき合うことよりも、刺激に麻痺してく気持ちをどうするかってことに消耗する。
そんなこともあって余計に、このタイプの良作が染みますわ。
10.4.2013
RSVC

RICARDO SILVEIRA VINICIUS CANTUARIA

2013 USA/BRASIL

RSVC って題、いいね。電機系用語っぽい、抽象的無機的な語感と字面。メンバーの頭文字足しただけみたいな芸のなさは基本好きじゃないけど、簡潔で力があり味もあるネーミングは大好きよ俺。
そんなブラジリアンSSW/ギタリストRSとVCの、米国企画物デュオ
作。録音はリオで。
各々のオリジナル曲を、歌入り、インスト織り交ぜて。
両人のG、歌唱とVCのPer、それに録音ミックスおよび共同プロデュースにも名を連ねる人の手になるごく控えめなリズムループ等が添えられる簡素な編成

内容的には五分のデュオ作なれど、俺はぶっちゃけVC絡みの新作としてチェックするわけですよ。そうゆうスタンスからすっと、RSの歌や作風ってVCの音世界との親和性が高くて、とてもスムーズに聴けるね
。RSのアプローチはVCより柔らかめで血色がいいかな。それでVCの醸す低温がやや温められてるよな気もする。とはいえ全体のトーンは、VCの世界に通ずるひんやり系ブラジリアンギターサウンドなんだけどね。
それと、ギター巧者のデュオなれども、流麗あるいは幽玄でとりとめなく的な方向へいかないのがまた、いい。VCは鳴り物も得意で(今作も少なからぬ曲にクレジットあり)、そうゆう資質もあろうけど、どの曲もリズムがしっかり意識されて、リラックスした中にも構築感が漂う。この、サウンドの硬軟の加減が気持ちいい。
VCのメジャー路線は、「ヒネリもあり淡麗なワールド系 SSW物」てな位置づけで、プロダクションにもなかなか隙がない。そうゆうメジャー製のソツのなさにはつい斜に構えちゃう因果な性分なもんで、この手の傍流企画は構えずに聴けていいやね。しかも、小ぶりなプロダクションゆえ仕上がりも相応にユルい
ってことはなく、ブラジル的豊潤のエッセンスがコンパクトに収まってて、ナイス。
9.25.2013
EL CORAZON ES EL LUGAR

PABLO DACAL Y LAS GUITARRAS DEL TIEMPO

2013 ARGENTINA

SSW PABLO DACAL 率いる野郎ギタリスト三人衆の作。
3本の生GとPABLO DACALの歌唱が基本編成で、曲毎に管、弦、鳴り物、歌唱などの客演が入れ替わり加わってニュアンスを添える。全体シンプルなアコースティックサウンドなれど、ストイックな印象はない。
ヴィンテージテイストなジャケの如く、様々なルーツリズムに載せたオールドグッドメロディ集といった趣向。カタログ好きの琴線を鳴らしてくれます。
アルゼンチンのハイブリッド系ポップミュージックでは、ルーツリズムの数々がかなり濃い口(つまりそこそこ本格的レベル)の手札として使われることって珍しくない
。が、その場合、ロックやらジャズやらエレクトロニカやら、今日的な他ジャンルの手札と混ぜ込まれた状態で聴かされるわけで。ルーツリズムのカタログっちゅう視点にフォーカスして楽しむとなると、いってしまえば不純物がたくさんあるわけですよ。
そこへ、正調ルーツ系の硬派なベテランでなくポップミュージック新世代の側から、こんなすっきりとしたカタログが。って、いや俺が勝手にカタログ的なものとして聴いてんだけどさ。
歌とギターが主役の音像。凝った仕掛けはなく、いろんなルーツリズムを繰り出すことで醸される彩り。
そりゃ歌声にもGプレイにも、年季の入った深み渋みはないよ。でも、薄っぺらで物足んないってこともない。むしろ同時代的な軽みと気さくなムードがにじんでて、そこがいい。演者に妙なクセや過剰な押し出しがないから、ルーツリズムカタログとしての佇まいをえぇ具合にリラックスして味わえる。
アルゼンチン産のソツのない高品位っぷりがなんかはがゆくて、あとひと押し、破格な方向のインパクトが欲しいとかって思う昨今。意外にもユル目なアプローチでツボを突かれた一作ざんした。
8.25.2013
SALT CATHEDRAL EP

SALT CATHEDRAL

2013 USA

NY拠点のアヴァンポップ系インディバンドの、この名義としての初作。
歌唱 & 鍵盤の♀とGの♂が中心のようだが、ご両人はコロンビア出身なの? ライブ映像では他にG、B、Drの野郎がいて5人編成だが、正式メンバーなのかは知らん。
初期
Foals のような、チャカチャカと小刻みで動き回るギターが引っぱるサウンド。そこに、(2nd以降の Foals のような)落ち着いてて涼感ある歌唱とシンセが載るとゆう基本構造。
てか、全編その調子。5曲入りシングルちゅうのは、その金太郎飴具合に飽きるかどうかのきわどいサイズ。
Foals に例えたけれど、こっちのリズムはずっと軽くて、Foals ほど芯のあるアタック感はない。いっぽうで歌唱はこっちのが腰が据わってて、Foals みたいな青っぽさがなく、若いなりに滑らかで涼やか(かつ朗唱系じゃなく、パフォーマンスには生色あり)。
トータルな印象では歌の存在感がデカくて、サウンドは、その歌をより引き立たせるためのちょい変化球気味の舞台装置って感じ。ハジケたテクニカルプレイやお祭り騒ぎを期待すっと、肩すかし。むしろ一服の涼み物としてよろし。
何となくだが、この人たち、サウンドスタイルはわりと流動的ってか、ギアチェンジを重ねてくタイプな気がする。こうゆうノリは今回だけかも(いや、これとおんなじ金太郎飴をもひとつ作られても困るけどさ)。
8.4.2013
MELT YOURSELF DOWN

MELT YOURSELF DOWN

2013 UK

英国のジャズパンク系バンドで鳴らしたサックス吹きを中心に、ハイブリッド方面インディの強者が集った新バンドの1st アルバム。
2Sx、B、Dr、Per、Voの6人組みに、Electronicsの客演。歌はなかば合いの手みたいなもんで、音的にインストバンドって印象のがやや勝るか。
Pigbag の演奏力にJames White(俺にとってはWhite) のノリをかけ合わせたよな音。つまり、下手じゃないけど、こなれた感じが出ぬよう、粗くぶっきらぼうなテクスチャーをあえて残してる、みたいな。
1980年前後のニューウエーブの潮流から派生した、ジャズパンクやらコールドファンクやらフェイクエスノといった傍流サウンドのかっこよさも、再発見されてそれなりにリサイクルされてる今日。
これもそうゆうのにゃ違いない。ただこのバンドは、件の傍流への入れ込みが相当なもんで、当時よくみられた技巧至上主義への異議として(といいつつ半分はただのテク不足)の流暢ならざるニュアンスさえも際どい線で再現してる。
それと、エスノ味へのアプローチ。アフロにせよ南洋土俗風にせよ、もっと本場の音っぽくすることは、今ならそう難しくないはずだけど、そこも往年の(今日の耳からすればぬるい)それ風にとどめてる。リズムの揺らぎや訛りなど、西洋音楽の規格に収めにくいとこには手を出してない。そっち系ルーツのメンバーもいるようだけど、音の基調はあくまで欧米からみた(しかも古風な)エスノっぽさ。
つっても単に芸の細かいニューウエーブ懐古スタイルってわけじゃない。音の盛り方や構成センスにゃ、あれから30年分の洗練をちゃんと感じる。あの頃のバンドだったら、ずっと大味かつやりっ放しな気がするもの。
ともかくこのバンド、大枠ではハイブリッド系であれ、趣味的偏向ぶりがなかなかキテる。で、そこをしてアタマひとつぶんくらい幾多の同系統バンドよか振り切れてるようにみえる、と。
そういや、絵柄同じで色違いなジャケシリーズって、複製アートへのオマージュ? あんたも好きねぇあの頃が。
7.9.2013
IN A TIDAL WAVE OF MYSTERY

CAPITAL CITIES

2013 USA

これまたLAの野郎 SSW 2人組みの1stアルバム。
片割れは中東系だそうだがそれはほとんど関係なく、当人たちの音楽的なルーツである70sディスコやら80sエレポップやら、甘くダンサブルな米国ヒットチャート系を再構築したエレクトロポップ。
にしても、こうゆうジャケを採用するセンスって、エレクトロ一筋タイプってより、もっと間口の広いポップマニアって気がする。つまり彼ら、エレクトロなメソッドにゴリゴリでこだわってるわけじゃなく、今表現したい内容とそのために自分たちがうまく扱える道具が結果としてエレクトロポップだったってことなんじゃないか
。そんな気もする。
で、そのソングライティングがなかなかのセンスで、単なる懐かしネタで済まされぬキャッチーなメロディの連打。なんつってもそこが麗しい。
トラックメイクでは、まず、過不足ない音像に盛りつけのセンスを感じるね。音の整理と華やぎのバランスがえぇ塩梅。
それから、70sディスコにしろエレポップにしろ、ローファイゆえの味ってあるじゃん。今日的デジタルプロダクションによるひたすら精確で均質なリズム、クリアな音像ってだけじゃ、その味がうまく掬えないこともよくある。
加減が難しいとこだと思うけど、そうゆう意味でうまい着地点なんじゃないかね。
ハイファイなテクスチャーが悪目立ちするほどでなく、むしろ今日的トラックメイクの技術水準ならではの美点のほうに気づかされる。サウンド全体のほどよいタイト感とか、複雑な打ち込みフレーズとか凝ったエフェクツとか。
ネタ元にあたる往年の曲たちを聴いてて「こうだったらもっといいのに」ってはがゆい部分がクリアされてるっちゅうか、かゆいところによく手が届いてるっちゅうか。
70sディスコや80sエレポップを手間暇かけてほじくるまでの情熱を持ち合わせぬ俺にゃ、実にありがたいねぇ。「この方面、手っ取り早くはこれ聴きゃいいか」って、横着心を突いてくれます。
6.19.2013
THE OLMS

THE OLMS

2013 USA

カリフォルニアの野郎 SSW デュオの1stアルバム。
グッドメロディ溢れるノスタルジックでサニーな曲群。レトロ趣味偏向でなく今日的な音響への配慮もあるサウンドメイク。しっかりしたバンドアンサンブルに載る、いい意味で匿名性のある歌声。
てな感じだがそれはそれとして…。
しばし自閉して無為な時間の底に沈みたい気分、ごくたまにはあるのよ俺でも。そんなとき音楽をお供にするなら、刺激も高揚も解放感も要らない。ただ、無為なひとときに波風を立てず、つまり余計なアタマを使わされず、淡いぬくみだけが肌から伝わってくるようなのがいい。
そうゆう音として、これ、けっこうイケるな、と。
ビジュアルからして60sとかの趣味全開な人たちで、実際は俺にわかんないだけでマニアックなネタ満載の音なのかもしんないし、ヴィンテージ機材フェチだったりすんのかもだけど、だとしても、賢しさやよく出来てる感より自然体なニュアンスが勝ってる

ま、しょせん印象だけど、それ、大きいよ。
ある種イノセントだった時代の味をシミュレートしたポップって、国産物でも今けっこうあるけど、どうもその印象が気になっちゃうこと多くて。
昔っぽさ凝らしてても、作り手のリアルなライフスタイルは普通にイマドキなんだろなってのが表現から透けてるよ、みたいな。同じ日本人として言葉や時代の記憶を共有してるぶん、シミュレートのツメの甘さにも敏感になっちゃうしね。
そこいくと、この人たちの日常、ひょっとしてサウンドの空気そのまんまなのかも、と思わせるよなとこがあんのよ。米国の事情や英語がよくわからんゆえの思い込みだとしても、それはいいの。狙ったレトロ感〜商売上の手練手管〜聴いてる自分の日常と地続きのリアリズム、って不粋な連想がアタマを巡らないのは確かなんだから。
6.18.2013
Para Abrir os Paladares

Vinicius Calderoni

2013 BRASIL

近年は SSW の寄り合い 5 a seco での活動もあり、名実とも脂ののってきた風のあるVinicius Calderoni の、久々のソロ新作。
人気ぶりを反映した王道路線かと思いきや…。こいつはまた、サウンドメイクと演奏に俊才を集めて繰り出す、ずいぶんと振り切れたオルタナポップ。
多彩な楽器の音色と音楽的語彙(タンゴなぞは出るがルーツリズムの手札は意外にもあまり使われない)を、寄せ木細工のように組み上げたサウンド。
フィジカルにまかせた器楽的饒舌さは抑制され、ほどほど緊張感のあるトーンが支配的。ときにアルゼンチン産を思わせる構築感すら漂う。
しかして、人力アンサンブル主導による重心やや低めで歯ごたえあるノリが奏功してか、徹底した凝りっぷりが単なるアタマでっかちに映らず、創造的意思が隅まで行き渡ってるという印象に。
と、何しろサウンドが立ってる本作だが、歌とて埋没しちゃいない。いやむしろ、落ち着いてクセのない歌声の力で大胆な遊びをみせるサウンドと正対し、ポップソングたるバランスを崩さずにいるのは大したもんとゆうべきか。
何度か表明してるけど、歌心もありサウンドも凝ってて演奏も達者でとゆうハイアベレージな佇まいに慣れちゃって、「悪くない」レベルを突き抜ける強烈さがないとなかなかそそられないのが、南米オルタナ系に対する近年の俺。
その意味じゃこのアルバムも、サウンドの振り切れ度がキてるっつったって、技量に裏打ちされた先鋭であって、理屈より先にハートを奪われるよな衝撃とは違う。
けどこれの場合、悪くなさの潮位が想定を超える高さで、気づけば、こっちがネガティブチェックのためにこしらえた門塀の上から溢れまくってきてたとゆう。
塀をもっと高くしなきゃならんか。いやそうじゃなくて、喜ばしい誤算は素直に認めなくちゃな。
5.18.2013
Cerebro Plaquetico

Julian Macedo, Mauricio Bernal

2009 ARGENTINA

マリンバとヴィブラフォンによるテクニカルな青年デュオ。
Hermeto Pascoal 作品集とゆう趣旨のアルバムで、他に同郷の音楽家の曲や自曲が少し。おまけでライブテイク1曲(インドのトラッド)。
主役の2楽器の他、各種 Per やバラしたドラムキットなども鳴る。ただし映像を見るところ、両人それぞれマリンバとヴィブラフォンの周囲に据えて、同時に叩いてる。必然的に主役楽器を邪魔するほどの音数にならず、いい薬味に。(それにつけても映像。片手にドラムスティック2本挟んだり、同じく片手でマレット3本使いしたり、驚きの技をさらりと。)
ところで、マリンバの音色って、好きなんだよね俺。硬さとまろみのバランスが絶妙。
それが堪能できる編成の作品ではあるけど、フィーチャリングHermeto Pascoal ってのもよかった。これが例えばフォルクローレの清澄系名曲集とかだったら、たぶんスルーしてたもんな。
マリンバが好きったって、ただ鳴ってりゃ満足ってもんじゃない。鳴らされ方も大事よ。
キメキメに奏でられる美メロよか、奇妙で、少しトボケた味のフレーズ。ウッディなメカニカル感みたいなもんがにじんでいればなおよろし、な俺だから。
そうゆう好みからして、複雑構造の Hermeto節は、音韻的起伏もえぇ具合。
もっとも彼ら自身、込み入ったミッションに挑むのがそもそも好きみたいではあるな。主役楽器のみで表現することにこだわらず、他の鳴り物が効果生むならどんどん使ってみようじゃないの、って。
バリテクな上に物腰穏やかで若きマエストロの風格あるのに、そこで妙に落ち着きかえっちゃうことなく、柔軟で積極的なのが好ましい。
ああそれから、ジャケ面白いね。どっちかっつーとストロングスタイル寄りの音だけど、このビジュアルでオルタナイメージ大幅アップだわ。
5.18.2013
DUPLO

Willy Gonzalez & Micaela Vita

2010 ARGENTINA

ともにフォルクローレを基盤にし、ジャズ/インスト方面でも広く活動するベーシスト/コンポーザー Willy Gonzalez と、オルタナバンド Duratierra の歌い手でもある Micaela Vita のデュオ作
客演はなく、2人で紡ぐ世界をじっくり聴かせる部分も多い。けど、全体として収斂方向の美を期待すると、そりゃ違うんだな。
Willy Gonzalez は腰のあるエレクトリック6弦ベースの音域をフルに使って弾き倒してるし(ほぼギターとして機能してる曲もあり)、サンポーニャも吹く(しかも映像だとハーモニカみたいにしてベースと同時プレイ)。
Micaela Vita の歌声は (
Duratierra でも感じたけど)表情豊かでヴァイタルなのに、どことなくほの暗い場所から響いてくるよな、天然のオルタナ仕様。そして彼女も、歌いつつフォルクローレ系の鳴り物を叩く。
要するに両人とも表現者として、一点集中型出力のストイックなタイプでなく、全方位的に出し惜しみしないタイプだったわけよ。
そうゆう個体×2ゆえか、限られた音色にも関わらず、足りてる気配に満ちた音像。半端に地味で一本調子なバンド物なんかより、華もバラエティもありそうってくらい。
とにかく、ひたすらひっそりしみじみと、或いは息もつけない真剣勝負、みたいのを想像するとハズレ。2人だけでどこまでできるかなんて意気込みはハナから希薄で、俺たちなら2人だけでも無問題って余裕で出発してるよな気がすんだよね。
と、そこまでいっといてあれだけど、やっぱし歌×Bっちゅう変則な主役には違いないのだった。
×Gや×Pfの定番な響きと比べりゃ、そりゃオルタナティブよ。だからこそ俺も喰いついたわけで。Bならではの低音のウネリと歌だけでムニムニッといくとこなんかにゃトキメいちゃう。

簡素ながら座持ちのする音像に感心するのかと思って聴いてみれば、実の詰まりようにまず意表を突かれ、でも聴いてれば変則ミニマム編成なればこその味わいもあってめでたし、みたいな。
5.18.2013
TOG PEBBLES

WAY YES

2013 USA

オハイオの野郎3人組みエクスペリメンタルポップバンドの新作。
G2人と打楽器他のマルチ奏者? てな変則編成。歌も歌うし、ライブではさらにPerなどの客演あり。
音はジャケの如し。パッと見、米国インディによくあるバッドテイストな絵柄にも見えるが、よく見ればむしろ天然ポップなフォークアートのよう。風変わりだが案外親しみもあり、突き放したとこや狂騒は感じられない。
んで、エクスペリメンタルっつってもDIY系で、エフェクティブな音色満載ながら、人力駆動を軸にしたアンサンブル。歌も各楽器もリフもリズムも、それぞれに印象的だけど、どれかひとつの要素が突出しない。すべてがよく煮込まれてる。
さらにそれを磁気テープに定着させたよなアナログで透明度の低いサウンドテクスチャー。
この、ストレンジで温い感触こそが味わいドコだと思うのよ。
いや、けっこう懐っこい歌メロなんぞも聴こえたりすんだけどね。何せ全体通して金太郎飴の音像なんだから、いい意味で。
どこを切っても変わらぬ湯加減の、ちょっと珍しい匂いのする湯に、ゆるりと浸かるってのがいいんじゃないかと。
考えれば、刺激用/リラックス用って分別は、多分にリスナーとしての方便であって、実際はそう明快に分けられるもんばかりじゃない。これなんかまさにそうで、珍奇な具材をふんだんに使って作られた和み系の音。
下手じゃないけど巧緻さとかダイナミズムをアピールするほうに振れず、自らの凝るところを屈託なく追求してる佇まいなのが麗しい。
粗挽きな悪趣味を露わにするひねくれぶりも、いかにも米国インディな味だとは思うけど、この人たちにゃ是非、おおらかさを失わずに行ってほしいもんです。
5.11.2013
SUPER EIGHT

SECRET KEEPER(STEPHAN CRUMP + MARY HALVORSON)

2013 USA

NYのベーシスト/コンポーザーSTEPHAN CRUMPと気鋭のアヴァン系ギター女子MARY HALVORSONのデュオ作。
こうゆう抽象的でインプロっぽい世界って退屈しやすい体質なんだが、なんかこれ、聴ける。
理由を考えるに、好みの音色のマッチングってのは、まずある。弓弾きなんかも交えたダブルベースと、ディレイや揺れるピッチなぞのエフェクトを駆使し、怜悧にしてささくれてないギター。
その2音で、過不足なく小世界が成り立ってるとこが、また新鮮でよかった。とりとめないようでいて、ただカオスを投げ出した如くにぶっきらぼうじゃないのよ。意味は不明でも響きの面白い異人のおしゃべりを聴いてるみたいな。
で、MARY HALVORSONね。(ベースの人のほうはよく知らん。)彼女はいろんなフォームで精力的に活動してて、折々チェックはするものの、どうもつかみどころがなくて。今作にしてようやく、その魅力が像を結んだとゆう。「おお、こうゆう人だったか。ギター、面白いじゃん」と。
ときに、変なギターっていえば、MARC RIBOT'S CERAMIC DOG の新作がスゲエって声しきりで。あれ、なるほど間口の広いアヴァン物として堂々たる出来だとは思う。けど、想像を超えたとこでの驚きは、なかったんだよね、俺は。(ま、こうゆうのは相対評価であって、MARC RIBOTなら期待のハードルも上がっちゃうから。)
そこいくと本作には、地味ながら意外性がある。ことリラックスよりスリルを求めて聴く場合には、驚きの要素ってのが俺にはとても大事だと再認識した次第でして。刺激の強さだけでなしに、そこに驚きがあると、そのぶん、こう、作品がキュートに感じられるってぇかね。
4.29.2013
BEAUTIFUL AFRICA

ROKIA TRAORE

2013 MALI

ヴィンテージライクにかすれた歌声で鳴る、マリ出身のシンガーの新作。
今作ではローカルポップ側に軸足を置きながら、相当にこなれた欧米的洗練の漂うサウンドを聴かせる。
この洗練、英国のJOHN PARISHのプロデュースによるところ大なようで、そこ、米国流でなくて正解だった気がする。
バンド編成は非アフリカンのギタートリオを骨組みに、アフリカンのンゴニ奏者や♀コーラスとゆう混成チーム。
とはいえ、ンゴニの旋律のこねくり具合やメイン歌唱とコーラスの掛け合いなんかにBEAUTIFUL AFRICAがエェ感じに匂ってる。
いっぽう欧州系らしきリズムセクションはワイルドとゆうより抑えの効いたノリだけど、アフログルーヴの揺らぎとの噛み合わせが気になるようなことはなく、整理された音像の構築に貢献してると思う。
欧米のポップミュージックを手本に洗練をめざしたところが、ご当地の音ならではのエグ味を洗い落としすぎちゃうケースって、枚挙にいとまないッスけど、これはうまいとこに着地できてんじゃないの
。半端なルーツミクスチャー物なんかよりは、ストレスなく、ほどよいエキゾチズムが味わえるもの。
砂漠のブルース方面の塩辛な漢味とはまた違って、こうゆうマイルドなアフリカもよろし

4.29.2013
GHOST ON GHOST

IRON & WINE

2013 USA

Samuel Beam=Iron & Wine って、歌偏重のSSWじゃなく、歌/サウンドの別なしにトータルな響きってのを常にイメージしてる人だと思ってた。メロディもなじみよくサウンドも刺激にあふれ、しかも高値安定ってのが得難い魅力だったわけですよ。
しかるに今作、「過去2作はキツい緊張下でクリエイトせねばならなかったが、今回はとてもリラックスして作れた」旨の発言が。
SSWが手をかけたクリエイションに疲れると、メロディ回帰とかいいつつサウンドをなおざりにってパターン、ありがちじゃないッスか。そこまでじゃなくとも、この新作、歌メロがゴロッと放り出されててバックはひたすら地味、みたいになってたらヤだなとけっこう心配に。
いっぽうで今回には Rob Burger や Doug Wieselman が客演してるとゆう朗報も
。両人のソロ作、フェイバリットなわけで(ともに映像喚起的でチェンバーなインスト集)。
果たしてどうだかと思いつつ聴いたところ…。
なるほど、歌には近作にないヌケた気配を感じる。元より抑えの効いた歌唱スタイルとはいえ、のびやかに、ときに溌剌と。んで、そんな歌の存在がいつにもまして印象強いのはたしか。
じゃ、やっぱりサウンド面はトーンダウンかってぇと、そこは杞憂でひと安心。ひと頃フィーチャーされてたアフリカンなエキゾ味ほどわかりやすく匂うことはないものの、チェンバー、ジャズ、アメリカーナなんぞが融けた音、マイルドではあれ薄ボケちゃいない。
あくまで歌を立てつつ(押し出しはしない)、そっちに耳を傾ければ決して緩みのないサウンド。重心を歌に寄せてはいてもトータルな響きの魅力は損なわれておらず、むしろその匙加減の妙にこの人のセンスを再認識したくらい。(ついでにいっとくと Rob Burger は
アレンジでも活躍してるそうで、今作の音的チャームポイントには彼の起用効果もあると思いたい、贔屓目ながら。)
それと、一曲一曲が8割くらいの腹もたれせぬ尺感で、テンポよく進んでく流れも小気味よし
。結局のとこ、旧作 THE SHEPHERD'S DOG と並ぶくらいのフェイバリットになりそな予感。
4.23.2013
Alone Aboard the Ark

The Leisure Society

2013 UK

英国の実力派男女混成オーケストラルポップチームの新作。クセのない歌声♂。
通も唸らせる高品位なソングライティング。インディペンデントなスタンスながら華々しいキャリア。らしいが、過去作はほんのつまみ食い程度で、ちゃんと聴いてこなかった。
今回、マイフェイバリットな米国1930年代のWPA ポスターみたいな色使いのジャケに反応して、気まぐれにチェックしてみた。そんなんだから、ま、構えて聴くわけですよ。退屈おぼえたら即終了、みたいな。
ところが、最後までいい感じが途切れなかったんだな。どっかしら心地いい響きが続くのよ。
今作では特性だった多楽器編成をぐっと絞って、緻密な作り込みよりヴァイタルなアンサンブルを重視する風にシフトチェンジした由。その着地点のバランスがよかったんじゃないかと思うのよ。少なくとも俺の肌には合った。
練り込んではいてもマニア的自家中毒サウンドに陥る心配のないすっきり具合といいましょうか。
むしろ、足し算に頼らないエディットセンスが光ってるね。管弦の挿し方にしても、サウンドに色は添えるが、チェンバーテイストが濃すぎてポップスとしての色艶を曇らせることがない。にじむ牧歌味も爽快でいとよろし。
俺は元々雑な耳なんで、ポップマエストロなのが売りってのにはさほどそそられない。そうゆう土台もあって、過去作の凝り具合は味見しただけにせよ TOO MUCH 感が先に立ったんだと思う。
その点、今作の「盛りは8分目、味はしっかり」(同アーティスト比)なバランスはなじみやすくてよかった。佳きメロディの豊穣さが俺みたいな輩にもとくと伝わりましたです。
4.6.2013
Not Waving, But Drowning

The Self Help Group

2013 UK

一聴、米北西部かカナダ辺りのアメリカーナ系バンドかな? と思ったけど、これは英国産のフォーク/ポップバンド
英国産と知ってみれば、「かな?」と思った部分に、なるほどな、と。
即ち、もろ米国産にしちゃだだっ広くてカラッとした空気が感じられずメランコリックな湿りと温みがあること、タフさでなくナイーブで親密な印象、等々。そういやブリティッシュポップの匂いも漂う気がしてくるから現金なモンだわな。
フルアルバムはこれが初作で、メンツはギタートリオの♂と鍵盤や鉄琴なんかも奏でる♀×2の5人に固まった模様。管弦やバンジョーなども入った人力バンドサウンド。
んで、Gの♂と♀2人による混声歌唱。そこがキモ。
ホントは♂メインで♀2人はサイドって位置づけかもしんないけど、俺には歌の存在感がずっと拮抗して感じられるのよ。ともかく、際立って押し出しやクセの強い歌声がなくて実にブレンド向きっちゅうか、だからこそ相補的効果を狙っての重唱フォームかもだけど、このおかげで歌のニュアンスがぐっと膨らんで、英語の響きも麗しい美メロなポップとして香気が増してると思う。俺的には SSW 物っぽく訥々と独唱で聴かされるよりずっと楽しめた。
それと、この人たちはあんまり若くない(若くは見えない)。かつ、それなりに落ち着きと奥行きのある音出してる。でも、音楽以外にはぶっきらぼうな職人タイプじゃなさそうってゆうか。音以外の表現もなおざりにしてない。当人たちが振り付け合わせて踊っちゃったりするPVとか(もちろんひとヒネリしたセンスだけど)見て、ちょっと意外で好感もてましたわ。
3.11.2013
ANXIETY

AUTRE NE VEUT

2013 USA

ブルックリンの、エレクトロニックポップの♂一人プロジェクト。フューチャーソウル/インディR & B 路線の新作。
若くのびやかな歌声に人生のしょっぱさは匂わず。今作は Mexican Summer 系列のレーベル発だそうで、歌も音もこのライトさ(軽くも明るくも)、俺が Mexican Summer に抱く印象にすんなり収まって妙に納得。
それはさておき、俺的チャームポイントはサウンド。わけてもデジタルビート

今日的高性能でロードされるチャカポコと懐かし気なビートボックスっぽい音色
。そしてその、人力で刻めるパターンの拡張とゆう発想にとらわれぬメカニカルなノリ。好きなのよ。
歌以外の鳴り音、音色の種類も音数もすっきりシェイプされてるおかげで、そうゆう中で唯一饒舌であることを許可されてるかのようなかのビートが、とくと味わえるわけですよ。
チャカポコ自体はデジタルビートとしちゃ定番的だけど、それをこそ堪能したいと思ったら、他の要素が盛り沢山で、てかはっきりいって邪魔で、ってこともままあるのよ

その意味でこれはいい。チャカポコがじゅうぶん引き立ってる上、サウンド全体もなかなか心地よろし。
サウンド全体っていや、この、風通しのいい空間内で局所的にほとばしる過剰性、ってな構造も好みだわ。(エレクトロ系は、音で空間を埋められちゃうとどうも苦手。)
で、そんなビートといい構造といい、しばらく前に出た英国エレクトロ系の KUEDO の作品(ブレードランナーの世界をテーマにしたやつ)に通ずるものを感じる。あっちはインストだけど、シンセのメロを歌声に置き換えれば、つくりは似てると思うんだな。

KUEDO の作、語ることがまとまんないままにここに載せる機会を逸したけど気に入ってて。今思えばキモはそうゆうことね、と。
2.19.2013
MESECE

NATASA MATIC

2012 SERBIA

セルビアの、こりゃまたずいぶんと熟れたシンガーの姐さんの作
ターキッシュとかバルカンとか地中海の東のほうの歌物で、ベタベタな芸能系でなくサウンド的に進取の意欲が感じられる系統って、確かな歌+トラッド回帰な音に向かう傾向にあるんだろうか。

ミクスチャーや新式テクノロジーの導入を押し出すスタイルは落ち着いたちゅうか、こっちが新味を感じづらくなってるのもあろうけど、ヒネた耳が「オッ」と思うようなエッジの鋭い音には近年なかなか出会えない

この姐さんのセルビア歌謡にしても、ノドや歌の濡れ加減はじゅうぶんなれど、サウンドは、俺的にゃまぁ普通

つまんなかないけど、オリエンタルに煌めく旋律のうねりも、バリバリな変拍子も、高速急上昇急降下も、全開のバルカンブラスも、とにかく醍醐味は薄い。てか、そうゆう風味は各種取り揃えられてるんだけど、耳をもってかれるほどの凄みは感じないな。編成も普通にその手の歌謡のバックバンド仕様だし。
でもね、件のトラッド回帰傾向を素直に楽しめるほど本格志向のない俺には、この庶民的な味付けの幕の内オリエント歌謡が今やかえって新鮮に映るのか、なかなかに聴けるのだった

しかし、ジャケから漂う場末感も相当なもんだけど、インナーフォトなんか熟女フーゾクの広告かってセンスよ。
何歌ってっか知らんけど、さまで露骨に扇情的とも思えず、音的にはまともだし。にもかかわらずそうゆうかなり下世話なビジュアルアピールって、彼の地のショービズ環境がそうさせるのか。ちょい謎。
2.11.2013
WE THE COMMON

THAO & THE GET DOWN STAY DOWN

2013 USA

ベトナム系米人SSW♀のTHAO(Vo、G)と野郎3人(G、B、Dr)から成り、西海岸を拠点とするバンド。THAOは近年ソロや別ユニットをやってて、このバンド名義でのアルバムは久しぶり。
ちょいこもり気味の声で懐っこいTHAOの歌唱は王道的な達者さとは違うけど、彼らの音には合ってて、メロディをよりチャーミングに響かせる。

今作ではオールドタイムやアメリカーナ、エキゾフレーバーなんかもほのかに匂うけど、そうゆうソースを素材にバラしてから自分らのスタイルに組み込んだ感じで、土台はあくまで陽性なオルタナポップ

基本編成に加えて管弦や鍵盤、マリンバなんかも登場するし、コーラスワークもあり、サウンドは表情豊か
。でも採度は高からずってのがいかにもUSインディ/オルタナバンド。
アマチュアっぽい音なのよいい意味で。DIYな感じがいいの。
彼らは技巧派じゃないかもしんないけど少なくともただヘタってことはなくて、そのDIY感は、拙さゆえ偶然ににじむのとは違う
。ウマイヘタとは別の、肌理の粗いサウンドテクスチャーであり持ち味。例えばメロウグルーヴが新幹線の滑らかな加速感なら、こっちは路面電車に揺られる心地よさ、みたいな。
ちゃんとしたDIY感ってのは、やっぱいいね。さらにゆうと、「ちゃんとしてる」止まりで小さくまとまっちゃわないのがいい。箱庭づくりでなく、風通しのいいセルフメイド味がよろしな、と。
こうゆうのがさりげなくいるとこにUSインディの懐深さを感じてしまうね。ウマイヘタのヘタ方向にもキャパの広い雑な耳のおかげで、味はあるけどどうにも拙い国産ものをたくさん聴いてきた身としては。
2.10.2013
SABE QUAL?

ANA GILLI

2012 BRASIL

サンバ系MPBシンガーの姐さんの作。パッケージの造作はちょっと凝ってるが意匠センスは正直微妙な、これはCD-Rでのリリース。でも音はよろし。
訳詞とかは自前なようだが、基本歌の人。曲はカバー。
まず、肝心の歌がえぇ感じ。クセのない声の落ち着いた歌唱。トランキライズ効果もじゅうぶん。
んで音のほうは、ギタリストがサウンドメイクを牽引してる模様。エッジの立ったトコは別にないんだけど、音の盛り具合やアルバム全体の構成にエディットセンスが感じられる。
シンプル目なバンド編成を基本としつつも、曲毎の表情や使用楽器の足し引きをうまく変化させてて、単調な感じは全然ない。
なんかこう、コンパクトスケールのプロダクションによる好盤ってのはかくあってほしいっちゅう、足りてる感が心地いいのよ。
ブラジル的メロウネスとかリズムの快さとか、あんまりヒネらず、過剰さもほどほどで聴きたいなと思うこの頃。でもラテングルーヴの老舗の味はもたれるし、今さらショップBGMみたいのじゃやっぱもの足んないし……。
そんなメンドクサい輩には、このタイトでモダンでわかりやすいテイストがなかなかツボだったと。
決して向こうから強力にアピールしてくるような音じゃない。でも、聴こえてて邪魔になんないってレベルの斜め上をいく、聴いてるあいだ心地よさがしっかり持続する音。いいじゃないスか。
2.3.2013
SILENCIOYVOLUMEN

JUAMPABLODICESARE

2011 ARGENTINA

ギターをメインに奏で、バンド活動もしてるらしい♂ SSWの、これはフォルクローレ系歌物のソロ作。ナイーブな響きもあるが血色も保たれてる歌声。
昔ここでサントラをとりあげた KOYAANISQATSI がもっとも衝撃を受けた映画なんだそうで、今作はそれをイメージしたアルバムでもあるとか。KOYAANISQATSI の映像も音楽も
好きな俺としちゃ、そりゃ気になる。
ただ、この人がオーケストラを自在に操る気鋭のコンポーザーとかだったら、 KOYAANISQATSI OST by PHILIP GLASSの南米的解釈かとなるけど、歌物フォルクローレだってぇから、大きな期待はせずに臨んだのよ

結果からゆうと、そんな心づもりのかなり上をいったね

SSWっても、内省的な歌が延々と、ってタイプじゃなかった。
映画の影響がどんだけ色濃い歌詞でも俺にゃわからんので歌はさておき、しっかり編み上げられたサウンドがよろし。
自身による歌やG、音響的仕掛けなど
の他、曲毎、Vinやら管弦打のフォルクローレインストゥルメンツの客演やら、小編成ながら案外いろいろ登場する。で、1曲のうちにあれこれと盛るんじゃなく、それぞれの曲はわりとあっさりめ。
サウンドの密度や起伏の大きさじゃなく、少しずつニュアンスの異なるフォルクローレサウンドがわりとサクサク連なってく、その配置の妙で飽かずに聴かせるとゆう

なるほどそのミニマルな感触は、KOYAANISQATSIに一脈通ずる気もするな。実際に映画を意識したかは知らねども、構成センスのある人だと思う。
それに、フォルクローレ物としてもね、シンプルなんだけど、ひたすら清澄で寝ちゃいそうってことはない、わかりやすいアンデス風味。このくらいライトなのが、俺、最近はえぇんですのよ。
1.1.2013
EN VIVO EN MEDIO Y MEDIO

TRIO IBARBURU

2012 URUGUAY

ウルグアイのibarburu三兄弟の作。
Ele-B & Violoncello、G、Dr & Perのトリオ編成による2009年時のライブ盤。オリジナルとカバー。ロック、ジャズ、ルーツリズムが溶け合ったインスト。
南米に産ずるところの、豊潤な音楽的素地と恵まれた身体能力と過剰な表現衝動とが揃ったゆえか、格別ヒネったことしてないのにハイエナジーで異形なロックやインスト物なんぞを、何も考えずに堪能したくなることがあるわけですよ

これ、まさにそうゆうやつとして俺は聴きたい。そこをあえて御託並べてみればね。

ウルグアイ産のそんな異形音楽ってと、熱いけど土臭いって印象があるけど、この兄弟はアルゼンチンを跨いでいろいろキャリアを積んでたりするからか、なかなか垢抜けててよろし

口当たりのマイルドさに、ただ軽快なポップインストにも聴こえちゃったりするほどだけど、この音数、このウネリは、やっぱしただごとじゃない。
それに「たくさん練習しました」「入魂のプレイ」みたいな気張りが全然ないこのヌケ感が、逆にすごいやね。自然に音出したらこう、みたいな。
ギタートリオってゆう骨格編成から生み出されるサウンドとなると、「もはや出尽くした」なんて簡単にゃいえないものの、新鮮さに驚くことは事実そうはない

なんて、したり顔し
てるとこへこんなのが軽やかに現れるとさ。「ギタートリオの可能性を見る」とまでいったら大げさだけど、ちょっとうれしいじゃないすか
1.1.2013


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uwatzlla@visitor2.jp


※英語以外の外国語を正しく表示させる技術がないため
(主にアクサンなどアルファベットに付く記号のことですが)
ただのアルファベットのままでお茶を濁してます。
ことにラテン系のアーティスト名や作品名は不正確になること、
承知いただきたし。

作品の国名表示は厳密なものではありません。
CDの生産地クレジットを基本にしてはいますが
アーティストの出身や活動拠点と関係のない国からのリリースの場合
どうにも違和感を禁じ得ず、そのアーティストのプロフィールとして
よりふさわしいと思われる国名を表記することもあります。
参考程度にご理解いただきたし。