Uwatzlla!



SINCRONARIO

ERNESTO MARTINEZ

2012 MEXICO/TZADIK

ギターのナイロン弦を張った小型ピアノ(ジャケのやつ)なども駆使してミニマル器楽を追求するメキシコのコンポーザー/マルチ奏者の、久々の新作。
自身の他、マリンバ、Per、Bなどの客演が加わるシンプルな編成。テクニカルな人力演奏を基本とするサウンドは変わらず。Electric-B
の使用でボトム強化の曲やや増量。
器楽の快感ってさ、例えば、聴いてるうち思わず脳内でエア奏者として演奏に参加しちゃうようなグルーヴの持続だったりしませんか

デジタルインストにはこうゆう気持ちよさって湧きにくい。人力では到底無理な超高速超複雑だったり、パキパキにスクエアなデジタル世界じゃ、エア奏者の居場所がないもん。
で、この人のサウンドってのは、エア奏者が脳内自然発生するタイプの極北じゃないかと。
めくるめく反復と連続。驚異的な技巧だけどあくまで人力のアナログな感触。身体感覚に基づいた想像力(それ即ちエア奏者)をかきたてられる快感の極みっちゅうかね。
どこを切ってもテクニカル全開(緩急の緩がねぇよ)の高出力。けど作品全体、「ミニマル極道」的に張りつめた空気ってより、むしろなんか濃密で不穏な気配が漂ってんだよね不思議と
。血に流れるラテンの過剰さを御してミニマリズムの音迷宮を築き上げると、なるほどこんな味になるのかって感じ。
ミニマル器楽以外の何者でもないし何物も存在しない。けど、ロックやジャズ系にゃ出し難いソリッドかつ精緻な音像がある。ポストクラシックにゃ望み難いヴァイタルのたぎりがある

それでじゅうぶんだし、だからいい。
12.11.2012
DEVELOPER

SOCIAL STUDIES

2012 USA

サンフランシスコの5人組みインディポップバンドの新作。
♀の歌声、強力な押し出しはないが妙なクセもない。
ところで、あらためて考えてみると「インディ」な音ってどおゆうのだろか
。メジャーに対するインディペンデントってゆう、制作態勢の違いを示す本来的な意味を超えて、サウンドそのもののカテゴライズとして通用するようになった「インディ」。
メジャープロダクトのこなれたブラッシュアップぶりに比べるとラフな質感だけど、そこが味になってる音?
商売上の配慮や媚びより、表現への意思や自然な表情のほうが強く感じられる音?
俺的にはそんなとこか

んで、このバンドの音だけど。
前はけっこうシンセが使われてて(鍵盤担当は歌い手の♀)、ヒネリのあるストレンジポップって趣も少なからぬサウンドだったけど、今作ではぐっとギターをフィーチャーしてシンプルなバンドサウンド寄りに。結果、過去作以上にメロディが引き立ってる。
じわりと哀感もにじんだりするミドルテンポの曲たち。その、前ほど凝ってないけど決して野暮くなっちゃいない、無駄にトンガってないとこがいい。
って感じるのは、これが件のインディな音だからこそじゃないか、と。
もしこのアルバムがメジャーの手際で、口当たりももっと甘口にソツなく仕上げられてたら、俺、メロディのよさに耳がいく前に、ひょっとしたらとっかかりでパスしてたかも。
「インディ」っつって誰もが思い浮かべる編成や曲調が必ずしも定まってるわけじゃなし、言い表そうとするとどしても抽象的になっちゃうのがはがゆいけど、それでもインディな音って実際あるよな、って話ですけどね。
12.9.2012
EDITION IO

PARIS MATCH

2012 JAPAN

10作目。
ジャケ見て、オルタナで行くの? と、ちょいと思ったが、それはなかった。PMはオーセンティックに行くのだ。
因みにここでゆうオルタナは、脇道を行きつつ、王道風を意識してやってますってのがわかるっちゅう意味ね

で、この人たちは、スタイリッシュな路線を、大手のプロダクションどっぷりでなくセルフメイドに創るとゆう、王道でも端寄りってか、かなり挑戦的なとこ行ってる。
描く世界に対して興ざめな安っぽさが漂っちゃダメだし、素朴なホームメイド味だって馴染まないのに、そうゆう表現を制作規模のデカさに甘えずにやろうってんだから、時世からしても楽じゃないよね。
俺の見るこのところのPM、ミズノマリの歌とグッドメロディ度は高位安定

新作の度、もっとも気にかかるのはサウンドメイクの質がキープされてるかどうかで、具体的には、腕達者を揃えた生バンドアンサンブルを基本とするスタイルの堅持の如何。
結果からいえば、今回もそこはまだ大丈夫。正直、往年の輝度からは弱まってきてるとこもあるけど(俺観測)、若い世代を登用しつつもこぢんまりしちゃうことなく、ひと安心。
ま、おしゃれで手の込んだポップスって、今どきオルタナやインディや一人宅録の若輩だってそこそこやるわけでさ。PMにゃ、小手先の技やベッドルームスケールじゃ出せぬ艶光りを見せてほしいわけですよ。
つっても、凝ったことやってくれってんじゃないよ。俺がこうゆうポップスに求めるのは、ほぼ耳ざわりのよさのみだから。
PMの立ち位置って、そこにフォーカスして味わうのにとってもナイスなバランス。商売物の大味なケレンも、マニアックな作り手の得意顔も鼻につかないって、意外とレアなのよ。
しかも、アーバンポップスとしてブレがない。いや、ポップスとしちゃハイブリッドなんだけど、ルーツリズムやエレクトロニカなんぞを節操なくかじり散らさないとこがいい。
そんな、よき立ち姿と確かな腕でもって、高純度の快適音楽をずっと聴かせてくれたらうれしいってことだす。
11.22.2012
YOUR FRIEND, THE ATOM

WE ARE THE PHYSICS

2012 UK

グラスゴーの野郎4人組みポストパンクバンドの新作。
陽性なB級味とか、テクニカル/マスの語彙がちらつくとことか、過剰に素っ頓狂な歌唱とか、近年アイルランド辺りによく産出するようなタイプとして俺は認識してる。つってもこいつらはそこそこキャリアあるけど。
で、アッパーにハジけるそのノリは日本のポリシックスに通じるといわれてて、当人たちもポリシックスからの影響を公言してる。

でも俺、ポリシックスにゃピンと来ない。
んじゃ両者の違いはどこかっつったら、こいつらの音は骨格からフィジカルで、そこが好き、と。ポリシックスにはフィジカルなダイナミズムを感じないのよ俺。狂騒が上滑りしてるだけみたいに聴こえちゃって。わざわざ引き合いに出してすいませんけど。
それはそれとして、腰の入った活きのよさはじゅうぶん感じるものの、かな〜り一本調子なのは否めず。「なんかイージーな歌メロだな」「そうゆう終わり方?」ってなツメ甘っぽさもあるけど、そこはご愛嬌。
だけど、下手に落ち着いたりバランス意識したりせず、突き進んでほしいね。ま、ロック以外の手札をほとんど感じさせない奴らだから、妙に小器用にゃなりようもないかって気はするけど。
ひとつゆうと、ワンポイントでもうちょっと変わった音入れたりすれば、ぐっと新鮮になると思うな

今はエフェクツや電子音使いの幅がわりと狭くてサウンドがカラフルにはならず、それが逆にバンドのトーンを特徴づけてるってのはあるにせよ、ね。
ともあれ、聴いてて理屈より先に高揚できるってのは、今、俺にとっちゃ貴重な存在なのよ。
それにしても、各地のハイブリッド系諸衆に昨今感じることの多い「うん、よくできてる。よくできてんだけどねぇ…」ってもどかしさを振り切ってくるのがこうゆうやつらとは。
なんか、俺の好みって簡単だわ。
11.4.2012
人間の秘密

原マスミ

2012 JAPAN

四半世紀ぶりの新作。
演奏はこの十年来の、4リズムのシンプル型原マスミバンドが中心。アレンジは主に近藤達郎。

サウンド、手堅くはあれど、かつての板倉文やバナナの仕事のような、ストレンジにしてポップって味はなくなった。
そうなるとどしても、音の面白さよか SSW 原マスミの紡ぐメロディ自体や歌詞世界に目が向くっちゅうもの。
今作中、「毛」とか「月化」とか古いレパートリーに比するに、新しめの歌の詞の傾向として、いきなり天上の世界じゃなく身の回りの事柄から入ってって、わりとストレートな表現が増えてる(あくまで当人比)。
ロマンチシズム煌めくハッとするような比喩なんかは減じて、そのぶんおおらかさが増したっつーか。割と直截に愛が、人生が謳われる。名詞の羅列が増えた。
しかしこの直球っぽさ(詞も、サウンドも)って、こうゆうのが熟して吹っ切れたとか枯淡の境地に向かってるってことなの? 往年の曲者ぶりを愛する俺としちゃ、ある意味センスの鈍角化じゃ、なんて、正直ちょっと
思わぬではない。
けど、よく聴けば、「ならでは」の表現の深みもまたそこここにあって。ありがちなセンスの老化≒劣化とはいえないものがある、いや贔屓目なしに。
結果としては、原マスミの歌世界のタフなつくりを改めて感じる次第。乗っかるサウンドや表現のニュアンスが多少変わっても、本質はきっとぶれてない。
とはいえやっぱし、かの歌世界と研ぎの利いたサウンドとの相乗効果も、また味わいたいわけで。
弾き語りでも音像の耐震強度は十二分なんだし、いっそバンドサウンドじゃなく独演+αで。その+α部分、尖ったアレンジセンスの持ち主に化粧してもらって、骨格オルタナサウンドによるアルバムなんてどうスかね。

10.14.2012
CHICA VIOLETA

FLORENCIA SUAREZ

2012 ARGENTINA

音楽家の家柄にして当人はダンサーでもあるとゆう歌い手のお姐ちゃんの作。カバーが多いが自作曲もいくつか。
フォルクローレを土台にルーツリズムの薫る曲群はミドルテンポ中心
。編成は曲毎、Gやバンドネオンなど生楽器メインの人力アンサンブルで、独唱のみの曲も。
ポップミュージックの二大効能たる刺激/安寧からいえば、これぞまさしく心に安寧をもたらしてくれる音。
低めでクセのない声、落ち着いた歌唱による、トランキライズ & スタビライズ効果が胸に染みわたる。
コンテンポラリーダンスなんかとシンクロしてる人って往々、ポップミュージックからすっと少々痛めな前衛臭漂わせてたりもしますが(←偏見)、どっちかっつーと緊張させられる佇まいだったりもしますが(←偏見)、この人はそゆこともなく、むしろダンスの身体性を反映したのびやかさが歌にも表れてるようで、えぇ感じ。
派手なエレクトロニクス使いや奇抜な仕掛けはないものの、無駄なく(でも決してストイックじゃなく)適度なハリをキープするサウンドは、だからこそよろし

聴いてる間じゅう純度の高い安寧に身を委ねることができる好盤。
10.14.2012
PRISON DOREE

ZOUFRIS MARACAS

2012 FRANCE

アルジェリア移民の家系で仏育ちとゆう野郎2人を中心とする、仏語で歌うストリート系ミクスチャーバンドの作。
歌声はほんのちょい辛
。強烈な押しはないが、大衆音楽の範疇でエキゾな空気を醸すにゃ、これくらいでもよろし。
G、B、鳴り物などのシンプルな編成による快調なノリ。エレクトロニクス使いはほとんどなく、曲により入るTpやPfが印象に残る。
シャンソン、マヌーシュスイング、北アフリカの砂漠のリズム、ちょいとカリブやブラジル辺りの香りなんぞを手札に揃える。
品揃えは珍しかないが、レベルミュージック系の荒さ/粗さと主張のある音よりも、本格トラッド系の生成りでいなたい音よりも、大衆音楽として洗練されてんのがこいつらの魅力。
なんつーか、都市の音なのよ。こなれたニュアンスと鮮度のバランスがなかなかえぇ感じ。
ルーツリズム系ミクスチャーも、異素材を盛り合わせるだけってのは、もういい加減新鮮味ねぇよなって思うわけですよ
。よっぽど意表を突く調合でもなきゃね。
こいつら、移民も新世代となりゃ、音楽的素地はネイティブの仏人とけっこう共通してると思われ。てことは、その土地の大衆音楽を演れば、それなりの据わりのもんになるでしょうよ。けど、それでもにじんでしまう、ルーツの違いを反映した異化作用ってのはないだろか。
てか、あると思いたい。ルーツの異なる楽師たちのコラボとも、当人にゃ縁もゆかりもない異国の音をネタとして真似るのとも違う、ナチュラルな異化効果が。
あんまり意味のない電化とか無闇な手札拡張よりは、そうゆうとこにミクスチャー物の進化を期待したいね。奇抜な混合目指して案外フツーってより、ちゃんとしたポップスでありつつどっかひと味違うみたいな。
複雑なルーツをもつ才女系 SSW とかにはそうゆうタイプちょこちょこいるけどね。街場の移民二世の兄ちゃん姐ちゃんから、もっと出てくるといいな、と。

9.30.2012
INTO THE DIAMOND SUN

STEALING SHEEP

2012 UK

英国産3人娘の初フルアルバム。
それぞれ弦、鍵盤、鳴り物を奏で、全員が歌う
。交互の独唱じゃなく、3人の歌声によるヴォーカルアンサンブル。それが聴きどこ。
欧州中世が舞台のファンタジーなんかに映えそうなフォークソング(民謡のほうね)を彷彿させる節回しが随所に現れるオーガニック系オルタナポップ。
ポップミュージックの側で、欧州中世の民衆の歌舞音曲のノリがそれなりに濃い味で味わえるってぇと、主にトラッドミクスチャー系のおじさんおばさん方の仕事ってことになって、そっちの濃さが本格的な分だけポップスとしての洗練は割引して聴かなくちゃ、だったり。
そこへ、この娘さんたち。サウンドの骨組みはトラッド系でなく今日的なインディポップ。
ポップスとしての口当たりもなかなかに滑らか、サウンドメイクもこなれたものでありつつ、欧州中世フォークのエッセンスの抽出ぶりがまたナイスな塩梅。
そのヨーロピア〜ンな味わいが、似たようなスタンスで例えばアメリカーナを扱う米国のグループとは、けっこうニュアンスを異にしてて、そこがまた俺的に新鮮

ガーリーでドリーミーってあたりにフォーカスして評する向きもあるけど、彼女たちの本領は「可愛いのぉ。微笑ましいのぉ」ってよりむしろ、意外にタフな野趣にあるんじゃないすかね。
今んとこ、他にいそうで案外いない音楽性だと思うんだけど、欧州新世代から、こうゆうのの野郎版とか出てくると面白いな、と。
9.6.2012
THE LANGUAGE OF FLOWERS

TWIGS & YARN

2012 USA

テキサス産男女2人組み。
弦、鍵盤、電子音、声、フィールド音等々のマテリアルをエディットして、アナログ/ローファイな肌ざわりの音響世界を描き出す

たとえば、アメリカの過ぎ去りしグローリーエイジの幸福な中流家庭で撮られたホームムーヴィーのフィルムの残骸が見つかったとして、日常生活やバケーションでのヒトコマが切れぎれに映ってて、画面はザラザラだし退色はひどい。だけどそれゆえに、ぼぉっと眺めてるとせつなく染みるものがある。てな設定のバックに鳴ってそうな音。実際、PVにはそんなセンスのもある。
大雑把にはエレクトロニカ/ポストロックあたりとされるのかしらんけど、そっち方面で俺が苦手とするヤワな軽さや小手先感がない。
古めかしい味を出すサウンドメイクは珍しくないけど、ただヴィンテージ機材で録ったりすりゃいいってもんじゃないのよ。この人たちの音には、手法以上の深みを感じる。
酷暑の折、今作に身を委ねつつ木漏れ日の下を徘徊などすると、盛りを越しつつある夏の倦怠とこみあげるノスタルジィとで気が遠くなるのだった。
♀のほうは今東京に住んでるそうで、意匠とかフィールド音のネタにその影響がちょっと出てる。でも、東洋趣味は要らないと思うな俺は。妙な方へいかないでおくれよ、と。
8.24.2012
CORRECT BEHAVIOR

ETERNAL SUMMERS

2012 USA

ヴァージニアの男女トリオ。歌唱は主に♀。
俺、音楽の好みは紛れもなく屈折してるけど、真っ向からの爽快さや無防備なまでのナイーブさにどうしょもなく照れがあるんであって、そおゆう音が嫌いなわけじゃない

むしろ自分のキャラから遠い要素への憧れめいたものはあって、たまにはネオアコのリイシュー物なんかチェックしたりもするのよ。
でもね、ネオアコでいえばひたすら淡くきらめいて蒼く尖る世界、そゆのには結局物足りなさをおぼえることが多くて。その繊細さをキープしつつ、もうちょっとでいいから重いパンチやエグ味を効かせてくれ、なんて注文つけたくなっちゃう。

そんなわがままっぷりにけっこう応えてくれる音が、意外やこんなとこに。
今どきのインディっぽく、もっと表情の読みにくい佇まいだった人たちが、ハジけたっつーか爽やかでメロディアスに振れたのが今作で。
細からず甘すぎない♀声がいいし、いかにもポップフリークな凝り具合やベッドルームメイドのスケール感よりもヌケよくヴァイタルなのがいいやね。
ポップとオルタナ、媚びと無造作の間の微妙な目盛り位置のこのサウンド。俺にしたらけっこう爽やかで甘酸っぱくて、そこに程々の雑味と重み。ついてけないほど眩しくもなく、狙った感ありありのやらしさもなく、照れ屋なおっさんにはなかなかいい温度ざんした。
8.24.2012
PLANET MICROJAM

DAVID FIUCZYNSKI

2012 USA

アヴァン系ロック/ジャズギタリストの新作。
近作では割とメンツを固定していたが、今回はBもDrも複数
。曲により鍵盤やVinも。
んで、当人のフレットレスGは毎度だが、他演者のクレジットにゃフレットレスBやマイクロトーン鍵盤なんぞが。
つまり題に謳うところのマイクロとは微分音階のことで、西洋音階に収まらない音世界ってことだろうと。実際、Gに限らずフニャピロ度増量のサウンド。
曲調は近作のエスニック路線を進めて、オリエンタル度増量。中国のトラッドや雅楽みたいな曲もあり。
けどね、結論からゆうとキレた音としちゃどうにも物足らないのよ。
西洋音階に慣れた耳が酩酊するような微分音の異界が広がるってほどでなし。エスノも全体に薄味。そもそもフニャピロが基調だから、ガツンとへヴィなとこも期待できないし。
そいじゃ何故にあえてエントリーしたかってェと、甚だ邪道な聴き方ながら、イージーリスニングとしてけっこういけるのよ、これが。
ぬるいヒーリング物なんかにありがちな、万人受けを狙うあまりにエッジをたわめすぎて、ソフトな口当たりってだけのもんになっちゃった、みたいのの逆っつーか。マニアックなことを追求してるつもりがずいぶんとマイルドな仕上がりに的な湯加減が、俺にしたら流し聴きにえぇ具合だった。
なんとかトロニカ系のちまちま感も、ポストクラシック系の貧血の気味もないしね。
まぁ、日頃流し聴き用の音をあえて探すこたあんまりないっちゅうか、聴き込むつもりで入手したところが結果的にそうなっちゃうケースがほとんどなんだけども結果的にそうなっちゃったケースでした。
8.12.2012
MATE DE METAL

JULIAN MOURIN

2012 ARGENTINA

フォルクローレ新世代ハイブリッドポップ系 SSW ♂のソロ作。
ジャケからはこちょこちょと凝った DIY ポップを想像するが、そおゆうんじゃなく、これはちょっと変わった質感の人。
当人の飾らない歌声とGに、鳴り物やコーラス、エレクトロニクスなんかの必要十分な伴奏。全曲通じてほぼミドルのテンポとトーンがキープされ、派手な起伏はない。
加算や充填を指向せずして、ストイックな印象にならず、ましてや貧相にはならぬあたりの、けっこう際どい線で成り立ってるカロリー控えめなハイブリッドポップ。
に加えて、空気感や水気が、地味に珍しいタイプなのよ。
ブエノスアイレス周辺の新世代ハイブリッドポップ勢に多い、ほっこりとした温性より一段涼やか。
正調フォルクローレ方面の美質たる「硬い表皮の下の瑞々しい果肉」な感じとも違い、もっとしなやかで肌の上から潤ってる。
ときに、彼の国の新世代先鋭系には、才気も腕もあり表現をそつなくまとめるハイスコアラーが人材豊富で。俺、正直、もうそんだけじゃあんまり新鮮みを感じなかったり。
「ん、さすがよくできてる。けど、もひとつ突き抜けたものとか、いっそイビツさが欲しいのよ」なんて、ほんと勝手生意気で御免なすって。
ま、ともかくそんな注文の多すぎる聴き手にゃ、この人のニュアンスが意外に新鮮だったと。
ローカロリーっつっても、それをして「ヘルシーでしょ」みたいなアピールは希薄で、あくまで天然っぽいライトさがいいのよ。おおらかってほどじゃないが、ちまちましてない。隙間は多いけど、ユルかない。
新世代のデキる面々のものわかりよさげな佇まいより、どっか飄然っつーか、肩の力の抜けた感じもまたよろし。
7.27.2012
SUDAMERICANO

LEANDRO CACIONI TRIO

2011 ARGENTINA

トリオの名義人にしてメインコンポーザーたるGと、BとPerの3人。
シンプルな合奏で、曲によりクラリネットやフルート、Pfなど客演あり。♀歌入りの曲もあるが基本インスト。
新奇なとこはまるでないけれど、ほどよい張りと歯応え、ウォームな小一時間に浸れる。
題の如く、南米のルーツリズム各種をフィーチャーした曲群が並ぶ。カタログフェチな俺は当然そこにひかれたわけで。
んが、そんなにわかりやすくバラエティを打ち出した曲調でもなかったっつーより俺の雑な耳じゃ聴き分けの難しい煮込み具合。
でもいいの。エディットの意思を感じるし、メロディは快い。てか、ただ音をパッケージしただけじゃハナから食指がのびないし、俺。
コントラバスじゃなくエレキベース。音粒のくっきりした低音の重り具合がよろし。ドラムじゃなくPer。ルーツリズムの細やかな表情を描くには、ドラムビートよか各種鳴り物。それらとGとのトリオ編成が、俺好みのバランス。
こうゆう、いってしまえば何てことないような地味な作品にも豊かな響きがしっかりと宿ってるってのは、やっぱ南米の音楽的な層の厚さかね(選手層としても、歴史としても)。
演奏テクの巧拙とかレコーディング設備の優劣以前に、こう、音楽の奥行き感、立体感やらダイナミズムに関して、デフォルトで日本人の及ばない閾値が設定されてて、そのことにはるか昔から暗黙のコンセンサスが成立してる、とでもいおうか。
いやぁ、不思議だ。

7.27.2012
I CAN SEE THE FUTURE

Eleni Mandell

2012 USA

オルタナフォークグループ The Living Sisters にも参加する西海岸のSSWのソロ新作。
低めで温性ある歌声はやんわりほんのり染みてくる。俺好みのカスレはないが、これはこれでよろしな。
ミドルテンポ中心で歌によくなじむ、こちらもウォームな曲たち。演奏は穏やかなバンドアンサンブルで、曲により使われるペダルスチールやストリングスがいい味、かつ彩りに。
内向きにすぎず、商売物的に整いすぎず、こう、ちょうどいいウエイト感ってゆうか。
まずはグッドメロディありき、他は総じて控えめな感じ、の系統ではあるんだが、鋭い才気やストイックさが出すぎることなく、歌物としてのオーセンティックな構えに安心して耳を委ねられるんだな。
つってもバランス感覚に長けたある意味優等生なタイプってんでもなくてね。
例えばこの人の歌唱、リズムの緩め具合がまたいい感じ。ときたま歌メロが、オンなリズムからワンテンポずれたりちょい崩れたりして、すぐに戻る。その軽〜い引っかかりがなかなか気持ちよかったり。
スタイルとしてのルードな歌い方にありがちな崩しすぎ感と違って、あくまで天然っぽいほころび加減が、これまたちょうどいい感じ。
据わりのよさにしてもくすぐりにしても、生成のテクスチャーなのが素敵な、佳い歌物。
7.15.2012
Bahia Fantastica

Rodrigo Campos

2012 BRASIL

PASSO TORTOへの参加をはじめ、ブラジル新世代のさらに先頭集団を走るカヴァキーニョ奏者にしてSSWのソロ新作。
当人のGと歌唱の他、管やストリングス、エフェクツ等も取り入れた人力主体のバンドアンサンブル。♀客演歌唱などもあり。
佇まいは穏やかだが、知的でエクスペリメンタルな気の漲る音像。PASSO TORTOのスピリットに通じるSSW物。
歌は溌剌系やノド自慢タイプじゃなく、どっちかってぇと雰囲気派。
そうゆう歌声で、サウンドの涼感が共通するからか、米国でも活動するブラジリアンSSWであるVinicius Cantuariaをちょっと思った。
ただ、Vinicius Cantuariaの涼感はレコーディング技芸の洗練の産物なのに対して、この人のは目指すスタイルの特性から醸されるものっぽい。向こうがエアコンから流れ出す快冷気なら、こっちは通風のよい建物とでもゆうか。何にせよ、今作を満たす心地よい夜気のようなエアは、ライブでもたぶん同じように湧出するんじゃないか。
で、その元になるスタイルってのはつまり、PASSO TORTOがそうであるように、より意識的にフィジカルを制御して奏でるところの、ブラジルの新しい音色みたいなもんかと。音楽的身体能力の高さにあぐらをかかないってゆう、ね。
そんな出音は派手なつかみがあるじゃなし、幻想味の薄〜いミストが漂うような。もっとも曲自体は淡いつくりじゃなく、相当構築的なんだけどね(でも硬くはない)。
落ち着いてるけど線が細いってことはなく、リズムの歯応えと新鮮な刺激があり、さらにサウダーヂも匂い立つってのが大変麗しいじゃございませんか。
何も好みの問題ってだけじゃなしにね、ブラジル未来型としての可能性も感じてしまうのよ、この周辺には。
7.5.2012
FAMILY

THE CAST OF CHEERS

2012 IRELAND

ダブリン産、野郎4人組み。マスポップ/ロックバンドの2作目。
けっこうテクニカルでも屈託ない佇まいで、表現のポップさにも無理がなく、ミクスチャーっぷりは大胆だが練り込みは甘かったり、ニューウエーブのDNAを宿した素っ頓狂気味の歌。
気づいてみりゃ、新世代ハイブリッド系にそんなバンドってけっこういるよな。そゆ中でこいつらのキャッチーさはアタマひとつ抜けてる、俺的に。
マス/テクニカルの語彙は豊富とはいえず、正直いって金太郎飴なとこもあるけど、俺のツボなんで許す。いやカッチョいいッス。
んで今作の曲群、そっち方面全開物と、わりに大人しめでポップなメロのものに二極化してる。
ハイブリッドなフォームの中でついやりすぎちゃう方向にも、轟音/ノイズ系、フリーインプロ系、複雑デコり系、どやテク系等々いろんなタイプのバンドがあれど、こいつら意外と美メロポップ系にもいっちゃうのか。
俺としちゃ、マス/テクニカル全開一本でヤンチャに振り切れてくれてもかまわないんだが、商売的にゃそうもいかない?
いや、全体ほどよくヴィヴィッドなカラーに揃えるならともかく、原色とパステルカラーとに分けちゃうってのも、商売としてあんま器用とはいえないんじゃねぇの。
ま、そりゃさておき、下手に分別臭くならないでおくれよ、と

6.14.2012
THE LUMINEERS

THE LUMINEERS

2012 USA

デンバーを拠点とする男女3人組み。
♂(Vo、G)、♂(Dr、合いの手)、♀(チェロ、マンドリン、鍵盤)という編成。
とてもシンプルなフォークロックが基調で、音楽性のほとんどは歌い手である兄ちゃんのソングライティングに拠っている。ってか、ソロの SSW 物っつっても通るわな。
お姐ちゃんのチェロや鍵盤の響きで彩りが一段アップしてるけど、G弾き語りオンリーでも成り立つ世界。
アイリッシュっぽい匂いがしたり、教会ソングっぽいムードがあったり、ニュアンス豊かだが肌合いは生成。
トラッド系の由緒正しき技芸を披露するとか、シリアスな主張を歌に込めるってタイプじゃなく、あくまで市井の音。
街の兄ちゃんだってその半生にいろいろ大衆音楽を観たり聴いたりしてきてるわけで。そこで吸収したものが自然にフィードバックされて、彼のグッドセンスで濾されて歌に紡がれたとゆうか。
決して流麗な名調子じゃないが、その素朴さが、いい。
野郎2人は紆余曲折あって東海岸からデンバーへとたどり着き、彼の地を拠点に決めたそうで。
そんな経緯を反映してか、どっかデラシネな哀感が漂ってるのも味。ダウンタウンの片隅の移民コミュニティで、訥々と、時にホットに奏でられる音楽、みたいな。
俺、弾き語り系だと大抵退屈するし、歌われる内容の3
分の1すらわかってないけど、これは不思議と聴ける。なかなか染みる。
飾らない佇まいや淡い哀感や市井のよいセンス、そのナイスブレンドが胸にくるのだ、きっと。
万人向けに強力な歌声じゃなくてよかった。そうゆうマイティカードだけで押し切るようなタイプだったら、たぶん飽きてた。
6.14.2012
WAKE UP SINNERS

DIRT DAUBERS

2011 USA

米国南部音楽オルタナミクスチャーバンド LEGENDARY SHACK SHAKERS の歌い手♀がその奥さんと始めたデュオ。それぞれに歌い、弦楽器他を奏でる。今はBも加入してトリオか? その新作。
カントリー、ヒルビリー、オールドタイム etc. 南部物諸々。LEGENDARY SHACK SHAKERS よかオルタナ減量でストレート。
一曲一曲も短くサクサクと、
パンキッシュかつタイトにきめていく。
アッパーなトーンは一貫してるが、曲調には案外幅があるし、シンプルな編成ながらもけっこういろんな楽器を使ってて、飽きない。
ライブ映像見ると、元ヤンの中年カップルが夫婦漫才しながらステージ演ってるような場末の演芸臭ってかキワモノ感が漂うわりにちゃんとした音ってゆう、なんか妙な…。
その外面と出音のギャップ、予備知識がないと立ち位置が読みにくい。
でも、LEGENDARY SHACK SHAKERS にも感じたけど、よく聴くとやっぱ賢いね。
このサウンドの締まり具合やエディット感は、不良中年つーかちょいワルつーか(どっちも死語だな)そんな外面のまんま粗野なだけの輩だったら出せないもの。
それでいて小器用さが鼻についたりしないのが巧い、じゃなくてニクい。実際、サウンドもスタイルも好きでやってんだろうし。
俺、ルードでマディでブルーズィでスワンプでズブズブみたいなの苦手だから。こう、実はクールなインテリジェンスでもって南部物をサンプル & エディットしてもらえると、とっても楽しめる。
向こうはそんな聴き方されんのヤだろうけどさ。
6.14.2012
QUACHATTA

SAMECH

2012 POLAND/TZADIK

ポーランドのストリングスグループ。ジューイッシュ文化圏の人たち。Double Bass♂、Viola♀、Cello♀、Per♂という編成の4人組み。
トラッドミクスチャー系にも食傷の昨今、中東欧方面の弦楽で久々トキメいた作品は、意外やTZADIKからだった。
TZADIKっぽい知的で鋭利な音とはちょっと違う、中低域な編成を反映したがっしりとして優美なアンサンブル。オリジナル主体。
ミドルテンポ中心の楽曲からは、様々なトラッドの融けたエキゾチズムがノーブルに薫る。
ラフでワイルドな大道系でも貧血気味のクラシック系でもない、スクエアにして深煎りな弦の響きがたまらんね。
知的な佇まいではあるけれど、それが尖った風に表れず、大人な余裕を感じさせるとこが素敵。
えぇ具合に演奏のハリをキープして聴く耳をダレさせず、最後、ちょいラウンジィに一息つかせる構成もニクい。
それから、ダルブッカあたりをメインとする鳴り物は、地味ながらけっこう大事なスパイス。ドラムセットでも、エレクトロビートでもなく、トラッド系の打楽器で正解だと思う。
決して出しゃばらず必要十分な拍子が加わることで、弦楽が締まっている。
また、この鳴り物とDouble Bassのいわば
リズセクの存在が、シンプルながら妙に足腰の丈夫なチェンバーとゆう、このグループの個性につながってると思われ。
5.27.2012
SUN MIDNIGHT SUN

SARA WATKINS

2012 USA

ex.Nickel Creek のフィドラーにして SSW のお姐ちゃんの2作目。
プロデュースは手練れのギタリストにして SSW であるBlake Mills 。諸楽器も担当。トラックメイクは主にこの人の仕事か。
それと実兄でギタリストかつ SSW であるSean Watkins(ex.Nickel Creek)とがメインの奏者。他、曲により客演歌唱や鍵盤。
関わってる人数は少ないが、隙間の多い簡素な音ってことはなく、ほどよく実がつまってる。合奏の醍醐味は薄いかわり、しっかりしたセルフメイド感がよろし。草の匂いのするウォームな響きに、ひと滴のオルタナ味。
初作は元ツェッペリンの人のプロデュースで、微妙に大味な仕上がりっつーか、あんまりピンとこなかった。歌い手として押し出しの強いノド自慢タイプじゃないし、どこにフォーカスして聴いたらいいかとゆう。
そこいくと今作は、しっくりくる身の丈感がえぇ感じ。SSW 的っちゅうかデカ過ぎないスケールの音像は、ちょいこもり気味で切ない歌声によく合ってる。
ところで、Nickel Creek の技巧派な佇まいって、やっぱマンドリンの若大将 Chris Thile に引っぱられるとこ大なのかね。解散後の Watkins 兄妹の SSW っぷりをみるにつけ、そう思う。
兄妹ともに、ブルーグラスな匂いは漂わせつつも街の音楽なのがいいね。
兄も早く新作出してくんないかな。前作大好きなもんで。
5.21.2012
LESSER KNOWN HITS

TALKFINE

2012 USA

ブルックリンのELECTRO-POP 野郎デュオの新作。今のところデジタル配信。
前シングルからの流れで、トラックのひねくれ具合を抑え気味にし、ソウルやディスコを出汁に効かせた80s ヒッツのテイスト溢れるソングライティングをいよいよ打ち出してきた。
あの頃、その手の9割方は素通りしちゃった俺の雑な耳ですが、そんな耳にさえ残った80s的メロディやサウンドがちょっとはあるわけで

そのちょっとの曲たちの、そのまたエキスを抽出して、今日的なかっこよさに仕立て上げたって感じなのが今作。

懐かしサウンドを土台にするELECTRO系ってぇと、わかりやすい大ネタがゴロッとある他がなんかおざなりとか、あれこれ盛ってるわりに全体がリッチに響かないとか、デジタルプロダクションの腕以前に、構築力やエディットセンスの弱さが図らずも露呈しちゃうパターンがありがち。けど、そこらを軽くとび越えたスマートな音が今日びとてもかっこいいなと。
スタイリッシュってほどキメキメじゃなく、スマート。適度にヌケてんのが気持ちいいやね。
シンプルだが過不足のない音数で出来上がった世界からは、どっか虚ろに明るい80s の陶酔感がえぇ塩梅に匂ってくる。
むしろシンプルだからこそ、その構築力やメロディが光るっちゅうか。それに、ただの引用や模倣じゃなく、元ネタのエッセンスをちゃんとつかんでるとこがクールだわ。
そういや、10年前ぐらいまでやってたGEGGY TAH を思い出したよ。同じく米国のELECTRO-POP 野郎デュオにして、凝ったサウンドメイクに負けぬ歌心があるってのがなんか似てる。
5.11.2012
SOUL FLOWER

ROBIN McKELLE & THE FLYTONES

2012 USA

ジャズ/ソウル系で、キャリアの初期から歌唱力が世に知られたSSWの新作。
ジャズヴォーカルやソウルのストロングスタイルってぇと、響きの気持ちよさは認識しつつ、大抵右耳から左耳に抜けちゃうのがデフォルトの俺。
でもって、錐状に尖った刺激にピンポイントでツボを突かれて悦ぶタイプの俺だが、今作はしっとりとして適温のエアに全身を包まれるような安楽サウンド。
モダンかつスタイリッシュだけど、大胆なミクスチャーでもなきゃ奇天烈な仕掛けもない。
だけど、そのまっとうな歌唱と演奏の心地よさがエグ味のなさを補ってなお余りあったとゆう、俺的レアケース。
この人は自然体なのがいいね。
本物っぽく(黒人っぽく)歌おうとか、TOO MUCHな情感(ソウルフル?)がない。力まず、さっぱり目だが、そこがいい。つーかそれでいて、腰の据わった歌いっぷりからは風格すらにじみ、ただの薄味には感じない。
黒人と比べてどうとかじゃなく、ブルーアイドソウルのあるべき姿ってのはこうゆうものかなんて、まったく門外漢の俺ですら納得した気になっちゃうくらい。
あと、音像や意匠や、クリエイティブ全般、いかにもメジャーなプロダクションを思わせる気張ったスキのない仕上がりじゃなく、そこはかとないセルフメイド感が匂う。ひょっとして制作上大人の事情ありなのかもしれんが、ともかく、俺にはそれも好ましい。
4.27.2012
KLARA CIRCUS LIVE 1985 - 1991

KLARA CIRCUS

2012 JAPAN

なんと、20年の時を経てクララサーカスのライブ音源集、しかもCDとDVDの2枚組みで20曲以上も。
未発表曲や未発表レコーディングテイクじゃないのは残念だが、それでもびっくりだ。
クララのライブはそこそこ観たけれど、収録されてるの、観てない日のが多いんで、それもうれし。
V、Pf、Vinの変則女子トリオで、児童文学やファンタジー的道具立ての世界をパンクな心意気で表現するのが彼女たちの音楽。どっかいかれたオルゴールみたいな。
パンクな出音やナリで、じゃなく心意気で、ってとこがキモ。
ネガティブな衝動や女子的ヒステリックさ、鬱屈なんかをベタに表現する♀音楽家(戸川純〜椎名林檎のフォロワーや劣化コピー、不思議ちゃんとか)は当時も今もたくさんいるが、そうゆうのとはレベルが違うメタパンクっちゅうか。
エキセントリック女子どまりじゃなく、その先のもっと普遍的なかっこよさを見据えてるようなことがクール。
活動中はまだハタチ前後の娘さんたちだったが、キャリアのごく早いうちからすでに完成されていた世界であり音楽。
80s ニューウエーブ〜東京インディペンデントシーンってのは俺のスイートメモリーズだけど、スイートの主成分はシーン全体の華やぎであって、バンドを個別に取り出して今の耳で聴くと、多くは案外ショボかったりするのよ、いろんな面で。
その意味で、クララみたいに20年色褪せない丈夫な音(単純な演奏テクとか録音の質とは別の話よ)ってのは実 に希少。
発掘とか蔵出しに値するのはこうゆうんだと思います。
4.23.2012
WHAT IS THE MEANING OF WHAT

TURING MACHINE

2012 USA

奇しくも米国技巧派3連発。皆、タイプは違うが。
この度はNYの♂Gトリオ。キャリアはあるが寡作にて、久々の新作。
客演歌唱入りの曲もあるが、基本はロックインスト。メカニカルな永久運動のごときサウンドを、人力演奏をベースに追求する。
ミニマルな曲調ではあれど、あんまりマスっぽくはない。
俺の思うマスロックってのは、贅肉を削いだ骨格構造の美を追求するスタイルのことで、それからすっとこのバンドの音はよりファットでエモーションを感じるのよ。
で、そのエモーション。むきだしの激情でなく、熱いものを内に秘めたボルテージとか、抑えを効かせた高揚具合とか。
そんな生身の匂いとマシンのごときノリとの混じりっぷりこそが、このバンドの魅力かと。
試しに今作の曲を、非人力演奏、パキパキでツルンとしたデジタルサウンドで聴かされた場合を想像したら、俺、案外飽きそうだもの。
実際飽きずに聴けるのは、熱の感じられるヴァイタルなニュアンス、「マシンのごとき」と「マシンによる」の違い、そのへんにカギがあるとしか思えない。
フィジカルゆえの曖昧さ、粗さがもたらす生理的快感って、やっぱあるよねぇと、あらためて認識した次第です。
4.20.2012
KALEIDOSCOPE YEARS

INSPIRED AND THE SLEEP

2012 USA

カリフォルニア産、野郎3ピースバンド
マスなテイストもあるタイトなサウンドに載せた歌物。
サイケ/ローファイとかって自己紹介だが、今作はブライトなトーンに覆われてて、むしろ新世代の聴きやすいハイブリッド系オルタナとしてウケそう。
が、俺的にこいつらのキモは、タイム感をいじくるっちゅう上級テクを手札にもってること。
例えばエスカレーターに両手かけて乗ってると、たまに片側のベルトの滑りが悪くなって、片手だけ数瞬後ろに引っぱられることってあるでしょ。
あんな感じの、微妙なリズムのズレや引っかかり、テンポの伸縮感を、全体のノリはあくまでキープしつつ、その中に編み込んでいくとゆう。
マス含め複雑テクニカル系で、反射神経上等やスピード自慢はありきたりだけど、この手の技の使い手となると多くはない

しかも、いかにも難しいことやってますってな強面の音でなく、けっこうポップな歌の背景でこうゆう試みが繰り出されるってぇと、さらにレア

ちなみに本邦にはすでに、歌物でこそないが、独得のポップさを醸しつつこの技を駆使して独走する今堀恒雄/UNBELTIPOっちゅう存在が。
それはそうと、こいつらもこの路線で熟してったら、かなりイカすバンドになりそうなんだけど、どうかな。
4.17.2012
BEWARE AND BE GRATEFUL

MAPS & ATLASES

2012 USA

牧歌風味マスポップバンド、「地図と地図帳ども」の新作
JASON CUPPってゆう俺はよく知らんけど名のある人のプロデュース。
作を重ねる毎に、ヤンチャ〜落ち着き〜凝った作り込みと、マスポップを土台に表情を変えてきた奴らなんでギアチェンジは想定内だが、今回ポップネス全開で、ギアっちゅうよりシフトチェンジで驚いた。
ハンドクラフト感溢れるチェンバー味からこなれたテクニカルテイストへブラッシュアップって感じ。
それと、サウンド全体を貫く直線的でどっしりしたビート感。今までになかったもので、このために印象が大きく変わった。
プロデューサーの仕事なのかメンバーの意図なのかわからんけど、このビート感とソングライティングのポップセンスが見事な相乗効果を産んでる。
米国ローカルののどかにしてマニアックな野郎どもって立ち位置だったのが、ブルックリン産や北欧産といったこのところ繁盛してるマニアックオルタナ勢と張るぐらいに、キメて、打って出たみたいな

張り合うどころか、こりゃ
下手すっとそっちの今どきオルタナ文脈でも売れてしまいそう。いや売れたっていいんだけど。それほどにポップでびっくり。
4.15.2012
BOSSA MUFFIN

FLAVIA COELHO

2011 BRASIL/FRANCE

ブラジル産、パリ拠点に活動する♀SSW の作
ブラジリアンリズム、アフロ、レゲエ、フラメンコ等々を手札に揃えたラテンベースのミクスチャーポップ。
中南米、アフリカ、欧州と大西洋をまたいだ守備範囲。それが、方々食い散らかすだけの青臭い雑食系バンドじゃなく、ネタの活かしっぷりにセンスを感じさせる♀SSW となれば、なかなか珍しい。
もろにフレンチな手札はないものの、軽くソフトフォーカスがかかったような音像はなるほど仏製って感じ。このマイルドさ、エグい音やタフな音を求める場合には洗練ととるかパンチ不足ととるか微妙なものがあるけど、ポップソングにあってはほどよいライト感が醸成されて好相性。
人力演奏メインだがバンドサウンドっぽさは薄い。生楽器も電気楽器もエフェクツも使われ、曲毎、ネタが活きるような柔軟な編成。
エッジの立った斬新さでも本格派のルーツ味でもなく、第一にエェ感じのポップソングとゆうプライオリティがはっきりしてて、それに十分応える仕上がり。心地よく、フレッシュ。
で、このお姐ちゃんがまた俺好みのちょい歪み声で、いいのよ。たまたまとはいえ、このところ同系統の声のシンガーばかり
。だって好きなんですもの。
4.6.2012
PASSO TORTO

ROMULO FROES/KIKO DINUCCI/RODRIGO CAMPOS
/MARCELO CABRAL

2011 BRASIL

SSW として奏者として、あるいはサウンドプロデューサーとして個々に活躍する♂4人が集った作品。
ほとんど弦楽器(G、カヴァキーニョ、コントラバス等)と声のみによる、変則気味だが余分のない骨格フォーム。ただし弦楽器はあくまで人力奏法で使い倒し、皆歌う。
ブラジル物全般に通ずるエッセンスとして、ひとつに流動の妙とでもゆうものがあると思うのよ。
弾き語りみたいにシンプルな編成であれ、ボサみたいにソフトな語り口であれ、音の粒は連なりフレーズを成して流れ出し、メロディは表情豊かに、リズムはうねり、ときに饒舌流麗に展開して空間を満たしていくっちゅうような。
ミューズから恵まれた才を出し惜しんじゃもったいない。気前よくいこうや的なお国柄?
そっからすると、こりゃ相当にオルタナ、ってかジェントルに攻めてるねぇ。
断続や反復をもって音の小片群を編み上げ、出力を注意深く抑え、隙間を活かすとゆう、かの地では珍しいスタイル。スパイス使いじゃなく、それに正面から取り組んでる。
が、硬質でストイックで実験バリバリな感じかってぇと、そうじゃないんだな。
新しいには違いないけど、弾力ある肉体性に富んだ質感で、穏やかな情感も湛えてる。ブラジル的美質は温存されてて、それゆえ、ワールドワイドにみても新鮮といえるんじゃないか。
話変わるけど、欧米(日本も)雑食系新世代にはマスやミニマルとゆう手札もかなり浸透してるものの、何か薄味で。その線でヌケたものって意外と見つかんない昨今。
そこを埋める存在がそのうちブラジルから(意外やアルゼンチンより先に)出てくるかも、とか思っちゃったり。
3.13.2012
AUDRA MAE AND THE ALMIGHTY SOUND

AUDRA MAE AND THE ALMIGHTY SOUND

2012 USA

オクラホマ産エェ声の♀SSWの、この名のバンドを率いては初作。
オールドグロリアスデイズのアメリカンポップミュージックの出汁がよぉく効いたキャッチーで色艶よろしき調べに乗せて描き出される、夜と酒と男と女のビタースイートワールド。
一聴、少し前に載せたHONEY HONEYの人が歌ってんのかとマジで思った。いやぁ似てる、つーか俺、こうゆう声にホントに弱いのよ。天然のコンプレッサーとディストーションのかかり具合がたまらん。
懐メロ方面をベースにしてるとこがかなりカブる新人男女デュオ(某店ではバイヤーイチオシとゆう)をちょうど試聴したばっかで、それ一応エントリー候補だったんだけど、残念ながらこのお姐ちゃんの前にすっかり霞んでしまったよ。
そっちはマニアックでスタイリッシュ、こっちは何よりよきパフォーマー/エンタテイナーたらんとする感じ。
理屈じゃあくまでスタンスの違い(どっちが上等ってことはなく)だけど、実際この手の音を演るとなると、その立ち位置、表現としてパンチのあるなしにかなり影響するね。「まぁ悪かない」止まりと「イイ!」とじゃ、その差はデカい。
メジャーでもいけそうなこなれたショーマンシップがありながら、オルタナの匂い(タフなローカルヒロインって感じ)もしっかりまとってるとこがまた素敵。
3.12.2012
COURT THE STORM

Y LA BAMBA

2012 USA

オレゴンはポートランドの7人組みの作。
バンド名義だけど、Gも弾くSSWのお姐ちゃん Luzelena Mendoza +サポートする野郎6人といった趣。実際そうゆう成り立ちで徐々に固まったメンツの模様。
野郎どもの構成はG×2、B、Dr & Per、アコーディオン、ウクレレ & Cl & Per 他。なかなか手練れ揃いのこなれた人力アンサンブル。
Luzelena嬢は雰囲気あるヤングアダルト声。アコギが指使いでキュッと鳴くみたいにちょいカスレるのもエェ感じ。
曲調はLuzelena嬢(移民二世)のルーツであるメキシカンテイスト(マリアッチとか。スペイン語歌唱も数曲)やアメリカーナを煮込んだフォーク(民謡のほうね)ミクスチャーポップ。
が、メキシコ風味はあっても、情を抑えた歌と演奏はひんやりモード。なんかこう。オレゴンから雪の大山脈越しに遥か国境の南を思い描くが如き、湿りを含んだ微低温。それが単なる血色の悪さとはならずに、独特な異化効果を生んでる。
Luzelena嬢の歌世界はけっこう内省的なんで、もろメキシコな温度設定で開けっぴろげに GO ! っつーより合ってるわな。
ちなみにプロデュースはSteve Berlin(Los Lobos)、Neko Caseの客演歌唱もあるが、アタシからは特にありません。
3.7.2012
LEAVING EDEN

CAROLINA CHOCOLATE DROPS

2012 USA

男女3人ブラックストリングバンドの新作。
フィドル、バンジョー、マンドリン+各々歌唱の変則トリオに、歌唱やチェロ、鳴り物などの客演。
トラッドとり混ぜた南部ブラックルーツ系の小ぶりな歌物メインという基本フォーマットは変わらないが、客演が加わる割合が増量されてて、その分サウンドが表情豊かになってる気が。

プロデュースは、前作 Joe Henry だったが今回は Buddy Miller というビッグネーム続き。
Joe Henry はフィルターみたいなタイプで、すべての材料をいちど濾してから、まっさらなスペースに隙なく音世界を築いてく感じ。
Buddy Miller はそこまで構築的じゃなく、糊を敷いた台紙とゆうか。その台紙の上に、さほど手を加えない材料を配置していくタイプっちゅうかね。
手を加えないったって、そりゃ Joe Henry と比べた印象で、立体感もコクもあるしっかりした音作りがされちょります。
で、このトリオのように元からはっきりした質感や匂いがある音は、Buddy Miller タイプの采配のがより活きるか、と。
ただ、タイトル曲なんか聴くと、溌剌としたブラックルーツ系じゃなく、オーセンティックでしみるグッドメロディってのもかなりイケそう。
そっちに思い切り振れた変化球アルバムでも作るなら、それこそ Joe Henry の腕の見せ所だろうに。……そこまでやりたかぁないか。
3.4.2012
MADRE BAILE

VIVI POZZEBON

2011 ARGENTINA

打楽器奏者でSSW、元Viviana Pozzebonの人の2nd。
南米各地からカリブ海周辺までのリズム(ルーツ系に限らず)をフィーチャーしたちょいエクスペリメンタルな歌物という基本は変わらないが、今作では中南米リズム図鑑てな様相をよりくっきりと打ち出してきた。曲毎にリズムとりどりで、それぞれにちなむ客演複数。
なんつーか、音が丈夫になったな。

初作の頃はもっとインディで身軽な感じだったけど、ずいぶん貫禄がついたねぇ(ビジュアルも…)。いや、リズムの採集にあちこち飛び回ってフットワークは今も軽そうだけど、表現の足腰がたくましくなったな、と。
まず、甘さ控えめでアルトな歌声がよく出ててよろし。シンガーとして見直したね。
それからサウンド。人力演奏と肉声のダイナミズムがまずドンとあり、電化加工は隠し味。この配合により、小器用なオルタナポップってよりヴァイタルな大衆音楽として匂い立つってのが麗しい。
で、そうゆうしっかりした下地のおかげで、思い切りカタログ的な構成でも散漫にならず、ほどよく締まってる。
カタログを意識した作品てぇと、エディットセンスとサウンドの色艶の両立が難しゅうござんすが、こりゃなかなかエェ具合じゃないでしょかと、カタログ大好物の俺、思います。
2.24.2012
ALBUM DESCONHECIDO

JULIANA PERDIGAO

2011 BRASIL

クラリネットやフルートも奏する♀シンガーの作。
歌物のアルバムだが、アタマ、インスト曲で始まったりする。
管、弦、鳴り物、エレキに鍵盤と様々な楽器が織りなす人力演奏主体のサウンド。けっこう凝ったアンサンブルを聴かすし肌触りはオーガニック寄りなようでいて、バックグラウンドにルーツリズムやジャズよりもロックを強く感じさせるところがなかなか新鮮。
曲調は落ち着いたルーツリズム系からアーバンメロウ、シネマティックにスリリングなムードまで振れ幅大きいが、演奏ともどもなかなかこなれたもの。いみじくも「未知数」という題に象徴されるように、温めてきたアイデアを盛大にブチ込んだって感じ。

で、そんな曲を書くのはギタリストをはじめバックの奏者がメインで(カバーも有)、本人はほとんどクレジットなし。
ただし、プロデュースやディレクションには名を連ねているから、より大きな視点でクリエイションに関わる人なのかも。
んで、ソロ名義ではあるものの、そんな才気溢れ出るバックメンの活躍に本人埋もれちゃってるかとゆうと、さにあらず。
天然のモアレがかかってて、のばすとちょいかすれる歌声は、サウンドと渡り合うのに十分な存在感。作品に歌い手の名を冠すに相応しく、多彩な曲群を太く貫いちょります。
2.12.2012
LE VOYAGE DANS LA LUNE

AIR

2012 FRANCE

エレクトロ及び人力演奏を操るフレンチ野郎デュオの作。
前世紀初頭のモノクロ映画「月世界旅行」のカラー化に伴って制作したサントラ。
映画はSF前夜のファンタジックでコミカルな活劇ってなもんで、オールドテクノな文脈でとらえるには違和感がある。ラングの「メトロポリス」なんぞならテクノ解釈もよかろうが、こっちはずっと人間臭い。

で、その質感にAIRの人たちの持ち味であるアナログ感がうまくマッチ。
印象としては打ち込みよりも人力ドラムビートが支配的なノリで、シンフォニック味レトロフューチャー味を溶かし適度にエモーショナルな、往年のロックインストのシミュレートサウンドっちゅうか。(歌物もあり。)
よく聴けば、そこにエレクトロなミニマル感や制御感の出汁がしみてて、野暮ったいようでしっかり洗練された音。デジ/アナの自然な混ぜ具合と配分はなかなかのもんだす。
装いとしちゃかなりロックインスト寄りだけど、マイフェイバリットな人肌テクノの亜種として味わいましたのだった。
2.9.2012
LA GRANDE

LAURA GIBSON

2012 USA

ノース & ウエスト方面アメリカーナフレーバーのサウンドに載せたオレゴン産♀SSWの作。
朴訥気味の声で丁寧に歌う。奏者としてはG、鍵盤、打楽器、ビブラフォンといろいろこなす。
CALEXICO、THE DECEMBERISTSといった、そっち系の客演あり。
ルーツテイストの出音のバックグラウンドってぇと、筋金入りにその世界の出自で「ワシゃこれしかできないし、ほっといたってこうなる」って感じの無造作なのと、出自はともあれその舞台設定の選択に意識的で、しっかり目配りして舞台美術を作り上げていくのと2タイプあるけど、この人は後者だな。
アメリカーナ、決して濃ゆくはないものの、ちょっとした音響エフェクツも配したり、仕上がりのヴィジョンをしっかりもって練られた道具立てって気がする。
曲調のベースは柔らかくフォーキーなんだけど、そんなアメリカーナ味がいい感じのスパイスになり、サウンド全体にもコクが出ている。
穏やかな曲メインなんだけど、アタマのタフなウエスタンっぽいのとか、中盤のホーボーソングみたいのとかのアプローチも面白いんで、リズムを打ち出した曲ももっと聴いてみたいな、と。
1.22.2012
PASSENGER

LISA HANNIGAN

2011 UK

アイルランド産♀SSWの作。
素直で温かい歌唱。G、マンドリン他弦楽器も奏でる。
ストリングスをフィーチャーしたチェンバー風味のバンドアンサンブル主体のサウンド。Gなどシンプルなバッキングの曲ではトラッド系フォークの味もあり。
Produced by Joe Henry。そうと知ればなるほどという質感と仕上がり。
ポップソングのカジュアルな軽みと器楽の行儀よさとのバランスが見事。このバランスって、ありふれた手法のわりにけっこう難しいと思うのよ。
そこは名匠Joe Henry、さじ加減を間違えて単に貧血気味の音になっちゃうような心配は無用。
彼仕事の場合、むしろ血糖値上がりすぎに気をつけにゃならんけど、そこんとこは当人のSSW資質(アーティスティックだけど、ルーツ系の野趣がほのかに匂う適度なタフさもある)がうまく作用してるような。丁寧な作りの土台の上に、新鮮な気流のある快適なエアコンディションをキープしている。
俺的には久々。安心して聴ける、チェンバーテイストで滋味のある歌物。
1.20.2012
BILLY JACK

HONEY HONEY

2011 USA

Vo+Vin+バンジョー(♀)とVo+G+Pf他(♂)の男女デュオ。
B、Dr、ラップスティール、弦カルテットなどの客演あり。
バンドサウンドっぽさはさほど強くなく、必要な楽器や編成を曲に応じて抜き差しする感じ。
歌唱は♀メインで、これがカスレ気味かつほどよくコシも生色もあるとゆう、かなりの俺好み。
実は、淡彩で素っ気ない音を勝手に想像して手を出しかねてたんだけど、聴いてみたら見事に外れたね、いいほうに。
ソングライティングは共作名義で、しみるミドルローナンバー、ざっくり南部風味、アッパーなカントリー調 etc. アメリカーナ彩々。
なんだけど、それ以上にポップソングとしてのクオリティがかなりのもの。キャッチーとゆうんでないけど、さりげなく耳をつかむグッドメロディ揃い。
よいポップスを引き立たせるフォーマットとして、渋みまではないけど今日的にこなれたアメリカーナ種々がナイスマッチング、と。
ビターテイストなコーティングの下にフレッシュな実がたっぷりっちゅうか、とにかく意外な豊潤さに驚いた。
そうなるとジャケの小ぢんまりした佇まいも、かえって「憎いネ」なんて思えてくるから面白い。
1.16.2012
TONO

TONO

2011 BRASIL

Vo & 鉄琴♀と野郎3人Vo & Dr、G、Bという編成のバンド。歌は曲毎に男女それぞれメインをとり、混合の曲もあり。
ポップで和む音とかっこよく強い音の中間、どっちつかずじゃなく、そこを目指したような座りのよさ。
さほどオーガニックではなく、電化されたバンドサウンドが基調。
俺、人力合奏のヴァイタル加減とボリューム感好みがデフォルトで。ベッドルームサウンドとかトイポップとかラップトップ物って、アクセント的に使われるならいいんだけど、それ一辺倒の作風ってどうにも物足んない。
いくら手をかけてても、スイーツじゃ飯喰った気にならねぇよ、ってとこッスかね。
といいながらオーセンティックなバンドサウンドじゃ退屈だしヒネリがなきゃ、といいながらありきたりなヒネリは飽きたしヒネリすぎてヌケが悪くなってもなぁとかなんとか……。
そんな面倒な聴き手の隙をつくようにポンとドロップされたこの音。
飯としての腹応えはちゃんとありつつ、先に挙げた小ぢんまり作り込み系サウンドにも通じるような(いい意味での)ライトさと散らかり感がホヤンと漂う不思議な魅力。
ときに、突然日本語のセリフが挿入される曲があるんだけど、ポルトガル語に比べてどうにも平板に聴こえちゃう。これって向こうの人からすっと逆にエキゾチックに響くもんなんだろか?
1.1.2012


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uwatzlla@visitor2.jp


※英語以外の外国語を正しく表示させる技術がないため
(主にアクサンなどアルファベットに付く記号のことですが)
ただのアルファベットのままでお茶を濁してます。
ことにラテン系のアーティスト名や作品名は不正確になること、
承知いただきたし。

作品の国名表示は厳密なものではありません。
CDの生産地クレジットを基本にしてはいますが
アーティストの出身や活動拠点と関係のない国からのリリースの場合
どうにも違和感を禁じ得ず、そのアーティストのプロフィールとして
よりふさわしいと思われる国名を表記することもあります。
参考程度にご理解いただきたし。