Uwatzlla!


BEACHBUSTER

PLAN 9

2004 GERMANY

ドイツのサーフインストバンドの今のところ唯一と思われるアルバム。
ちょいウエスタン風やロカビリー風もありますが適正な振れ幅の範囲であり、軸はぶれません。エコーも深いテケテケサーフサウンド。
もろなサーフインスト、好きなんだけど、ベンチャーズみたいな古典じゃなく、今の音で聴きたいわけですよ。
で、これ。06年に出たドイツの変なバンドのサンプラー「KAFFEE BURGER」に収録されてて気に入ってたやつらの作品をようやく入手。
ホーン(Sx &
Tp)が余分っちゃ余分なんだけど気になるほどでなし。なにしろサウンドが下手なミクスチャーなどせず、すがすがしいほどにサーフでよし。
しかし何故にドイツでサーフインスト? 東洋人が言うなって感じっスねすいません。

8.30.2008
ナゴムポップスコレクション

VA

2006 JPN

元有頂天のケラが主催したナゴムレコードの音源のうち、ナゴムっぽくないアーティストを集めたもの。ぽくないってのはつまり、あからさまに奇矯なところがなく、比較的まっとうなバンドってこと。
クララサーカスのアナログ音源も編集しなきゃと思っていた矢先、偶然このアルバムの内容を知った。ナゴムは管轄外って思い込みでスルーしてたよ。危ねぇ。
これでクララサーカスの音源は一気に6割方CD化されたわけだ。まずはめでたいが、たぶんこの後はあるまい。
オムニバスっていうと目当ては3割あればいいほうなんだが(俺の場合ね)、このアルバムはクララの他、カーネーション、グランドファーザーズ、ドレミ合唱団、ピッキーピクニックとすごいお得感。
ちなみにグランドファーザーズの大田とドレミ合唱団の棚谷は後にカーネーションに入る。ナゴムと直接関係ないとは思うけど。

8.30.2008
DESLUMBRE

MARIANA BARAJ

2005 ARGENTINA

去年、充実したアルバムを出したネオフォルクローレの新鋭♀Vo&Perの2005年の作品。Sx、Dr、G、Bというジャズ的編成のシンプルなサウンドをバックに素直な歌を聴かせる。曲はカバー。
この時点では音響的なアプローチなどはないものの、不思議と漂うモダンな気配。
それはどこから? と考えたら、声だね。
ワールド系のバックボーンがある歌い手というと、ドスの利いた声にせよ、フェロモン系にせよ、ホリーな美声にせよ、どこか濃さというか過剰さがあって、それが本物っぽさを醸してることが多いと思うんだけど、この人の声は明瞭で芯がありながらもあっさりしてる。そこがポップミュージック的洗練を感じさせるんじゃないか。フォルクローレならではの清澄感ともナイスマッチング、と。
この声なればこそ、次作での「声も楽器のひとつ」的展開につながったのかも。特徴的に濃ゆい声だったら、そこを押し出す方向にいきそうだもんね。

8.30.2008
CARRIED TO DUST

CALEXICO

2008 USA

キャレキシコが出てきたときは、よくも悪くもB級なのが持ち味で、そうとう趣味よりのスタンスの人たちだろうと思ったもんだけど、すっかり達者なグループになったね。
順調にステップアップして、前作あたりでこのまま渋いアメリカーナに落ち着いてしまうのか?となったけど、今作ではミクスチャーテイストが盛り返してサウンドもはなやいだ印象。
それだけじゃない。昔のミクスチャーぶりは「この曲はマリアッチ。この曲はウエスタン」て感じに、わりとわかりやすくカタログ的で、そういう所をしてB級に思ったりもしたんだが、今作では、BILL FRISELLに通じるが如き、抽象的なアメリカーナのエッセンスがにじむような曲が増え、ルーツ系オルタナサウンドとしてコクが出てきた。
てか、もはや初期の素人臭はないね(もちろんいい意味で)。こういう熟しかたなら先が楽しみってもんだ。
8.26.2008
MOMENTOS SAGRADOS

Dario Poletti

2006 ARGENTINA

アンデスの風物をイメージさせるフォルクローレベースのインスト。ボーナストラックに歌物2曲。
フィールドレコーディングされた自然音にさまざまな生演奏が絡む。あからさまにエクスペリメンタルな仕掛けはない。
ナチュラルテイストな音には違いないんだが、ただ朴訥なわけではなく、なんつーかアルゼンチン音響派なんかに近いセンスのサウンドメイキング? クールな編集感覚みたいなのが全体に漂ってる。
いろんなイメージが移ろいゆく音の絵巻物のようなゆるやかな構成は「アンビエント」に分類されそうでもある。実際、流し聴きでもたいそう気持ちいいんだが、環境音楽というには端々に意思を感じさせる音だったりして、なんか不思議。
8.25.2008
ZERO

CRAZY KEN BAND

2008 JPN

CKBの10作目。
横山剣というフィルターを通して見た横浜を中心とする虚実混沌世界が、アルバム毎に曲数分のお話として提供されるわけだが。汲めども尽きぬ豊穣さというか。剣さんの詞世界のタフさはすごいね。詞の源泉となる世界は昔から変わらないのに、毎度新鮮さを保っている。
サウンドも昔から変わらない。J-POPに多いどこか虚ろな高級さとは質感が違う気がする。いい意味でハンドメイドな肌触りの音。

ところで、詞にせよ曲にせよCKBワールドのソースは多種多様だけど、そのすべてが俺の趣味に合ってるわけじゃない。っつーか各ソースを単独で見たらむしろ興味ない要素がけっこうある。例えば俺アメ車には無関心だし、ブラックミュージックはぜんぜん門外漢だし。
だから正直いって、CKB全曲最高ーっ! ってことはない。
でもCKBのアルバムには毎回ぐいっと心をつかまれる曲が数曲ある。(あくまで好みの話ね。楽曲のデキのいい悪いじゃなく。)ポップスとしては、これって実はすんごい高打率なんじゃ? と、あらためて思った次第です。
8.16.2008
LEARNING TO BEND

BEN SOLLEE

2008 USA

6月に紹介したABIGAIL WASHBURN & THE SPARROW QUARTETのチェロ奏者のSSWとしてのソロ作。歌とチェロ、ギターなどをプレイ。ABIGAIL WASHBURNもバンジョーでなくコーラスで参加。
曲は生楽器による穏やかなアメリカーナで、歌は特に巧者ではなく朴訥な雰囲気。
と、それだけならありがちなんだが、その編成が面白い。

チェロの弓弾きに加え、指ではじく奏法が大活躍(ギターよりこっちがメイン)。ギターに似てギターより深い音色。さらに普通ピアノを使いそうなパートをヴィブラフォンにしたり。
チェンバーよりのアレンジで歌物を演るというより、オーソドックスなバンドサウンドをあえてチェンバーな楽器に置き換えて演ってるような感じ。
んなハズシによる異化効果で、よく聴くとなかなか新鮮な響きのアメリカーナになっている。
8.9.2008
SANTA REBELDIA

CELIA MARA

2008 AUSTRIA
2009年2月になってようやくCDが店頭に。このGLOBALISTAってレーベルは在ウイーンで、CELIA MARAも現在ウイーンで活動している由。このサウンドがfrom AUSTRIAとは違和感ありまくりだが、こういうケースも増えてくるのかもね。産地訂正。2009.2.

CDがいつ出るかもわからないんで、ダウンロード購入した作品をUP。えぇ声のオルタナMPBおばさんの新作。
前作Bastardistaはオルタナ度とポップさと技量とが高レベルで拮抗した傑作で、いい意味でまとまってる感があったが、今回はそこからさらに抜けて、スケールの大きさをも感じさせる。
オルタナ風味を醸し出す凝った仕掛けの数々も楽々と受け止める耐震強度の高い曲と魅力的な歌声。まるでレニーニのごとき安定感さえ漂う。
もっと評判になってもいいと思うんだが、この放置ぶりは何なのだ。ラテン系専門店でも過去作まったく無いし、スルー気味なのが不思議でしょうがない。
ならいっそのこと俺だけが知ってる的存在であってほしいので、これ読んだ人はただちに忘れて下さい。
8.5.2008
SCARS ON BROADWAY

SCARS ON BROADWAY

2008 USA

system of a downのG & VoとDrによる新プロジェクトっつーか2人ユニット。
ギクシャクしたリズムや変拍子を力で押し切るトコとか、突き放したようでいて、メロウになったかと思えば朗々と歌い上げるヴォーカルとか、system of a downっぽさをしっかり受け継いではいるけれど、何といってもサウンドが身軽になった。
system of a downのへヴィ&ハードかつ暗めの色合いのサウンドに比べると、大きな方向性は変わらぬものの曲調の自由度と彩度がアップした感じ。メタル度減量、ニューウエーブ度増量。
system of a downを高レートで圧縮して、さらに突き抜けたような4曲目“STONER HATE”にやられた。
それと、ピンポイントでのシンセの使い方がイカす。

8.3.2008
GHOST ROCK

NOMO

2008 USA

デトロイト発、ホーンを含む大所帯アフロ-ファンクバンドの新作。全曲インスト。
過去作も評価の高いバンドだそうだが俺まったく知らなくて、ジャケットとタイトルにしびれて購入。
“GHOST ROCK”とは簡素にして力強くイマジナティブなネーミング。かっちょいい。
アフロっつってもリズムに訛りはなく、きっちり割り切れるジャストなノリ。往年のトーキングヘッズのように、泥を落としたアフリカのエッセンスを感じさせる。
似たような編成でよくあるジャムバンドのちょいルーズなサウンドに比べると、ずっと構造的で無駄がない。なのにグルーヴィなところがよりいっそうクール。

8.2.2008
interior

Florencia Bernales & Henry Burnett

2008 ARGENTINA

アルゼンチン生まれの♀シンガーとブラジル出身の♂ギタリストの作品。全曲オリジナル。ポルトガル語の全作詞はEdson Coelhoって詩人。
歌とギターがメイン、バンドネオンやパーカッションの味付けがほんの少々。
♀Voの歌からはフォルクローレの乾いた空気感が漂うが、ギターはブラジルの陽性な豊穣さを感じさせる。
南米
オルタナ系を聴いているときは、ブラジルとアルゼンチンの違いとかあまり意識しなくなってるけど、その乾湿の差があらためてよくわかる。そしてその絶妙なブレンド。こういうシンプルでオーガニックな編成の音楽では、意外とありそうでなかったかも。
7.27.2008
ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一髪

福田裕彦

2008 JPN

松竹の特撮怪獣物ギララのリメイク作品のサントラ。
伊福部昭をはじめ初期ウルトラシリーズなど、往年の日本特撮音楽のどっかで聴いたようなフレーズがてんこ盛り。オマージュだそうだが、愛があるかどうかはともかく深みは感じないっス。
でも、往年の特撮音楽の弱点であるリズムのシンクロ具合と音のソリッド感はなかなかに気持ちいい。
数年前、伊福部昭にハマってたりしたけど、聴いててもどかしいのは、オーケストラってリズムがユルいことなんだよね。昔からクラシック系の奏者はリズムが甘いってロック系からの偏見があるけど、ほんとにそんな感じで。ここはビシッと合ったほうがかっこいいのにってとこが決まらない。下手じゃないんだけど、甘いの。
この作品は打ち込みベースでリズムがかっちりしてて、そこは勝ってる。曲の迫力や重厚感ではかなわないけど。

てことは、
伊福部作品やウルトラシリーズそのものをカバーしてみたら面白いんじゃないの。今作にもアドバイザーとしてクレジットされてる井上誠(ex.ヒカシュー)のゴジラシリーズみたいにね。
7.21.2008
PENGUIN CAFE ORCHESTRA REMASTERED

PENGUIN CAFE ORCHESTRA

2008 USA

ペンギンカフェ作品群リマスター再発。代表していちばん好きなアルバムをば。
今月号のSTUDIO VOICEがちょうどアンビエント特集で、ペンギンカフェをアンビエントに分類することに否定的な見解なども載ってて、なるほどねぇと思った次第です。
イーノあたりをアンビエントの正統とするなら、ペンギンカフェは異種じゃないかという話で、音楽の構造/形式で見るなら確かにそうかもね、と。

世間一般ではアンビエントを、聴き手の抱く印象を軸にして「穏やかで気持ちいいインスト」くらいのニュアンスでとらえてることが多くて、そのユルさでいくと結局何でもありになってしまうんで、そういう状態に対する異議ですな。
1曲目のAIR A DANSER なんか
聴くたび「あぁ気持ちいい。無限ループで流したい」と思ってしまう半面、ペンギンカフェの音楽全般に対して常々涼やかな構築美のようなものを感じていた俺としては、どっちのとらえ方にもうなづけるけど、日頃はアンビエントについて世間と同じくユルくとらえてるかな(つーかあんまり考えてない)。タワレコのアンビエントコーナーの分類にも、特に不便不満は感じませんのだ。
7.16.2008
COMBAT SAMBA

MUNDO LIVRE S/A

2008 BRASIL

マンギビートのベテランバンドのベスト盤。90年代の作品は聴いたことなかったんでありがたい。
タイトルといいデザインワークといい不穏な雰囲気漂わせてますが(実際、中心人物は主張のある人らしい)、そういうのとは裏腹にけっこう親しみやすく、ときにメロウなメロディだったりするのは昔からみたい。そこが好き。
マンギビート系でもアグレッシブなムードのバンドは、イメージ通りのハードなギターやHip Hop系打ち込みなんかで密度の高いサウンドを作るタイプが多いような気がするんだけど、この人たちはすき間を活かした音作りが珍しいと思ってた。そういうとこも好き。

6.25.2008
PLURI

MATINGUEIROS

2008 BRASIL

ブラジル北東部より登場したバンドの1st。かの地方のカーニバル音楽のフレーバーにあふれた音。
カラフルで祝祭的かつ人肌なテイストのデザインワークが印象的だが、音もまさにそんな感じ。オーガニックな編成でゲストも多数(シバとかナナ・ヴァスコンセロスとか)。全18曲、バラエティ豊かであきない。Vo♂の声はちょっとレニーニに似てる。
明るく柔らかいナチュラルサウンドが続くうち、7曲目のインストを過ぎたあたりから急にオルタナな雰囲気が濃くなってハッとする。曲数の多いアルバムだが、ここのところがいいアクセントになっていて、ちょっとにくい構成。

6.24.2008
シングルズ&コレクションズ

原マスミ

2008 JPN

去年のアルバム全3作リイシューに続く、アルバム未収録曲集。過去リリースされたレア音源は、レコード会社もバラバラながらほぼコンプ。偉業!
3rdアルバム「夜の幸」における原マスミの楽曲と川島バナナや板倉文のストレンジでかっちょいいアレンジとのコラボは
、1+1=2以上の効果を産み出す幸福な出会いの好例だと思っている。
本作収録曲は最初期の作品や killing time 周辺とは別のチームと組んでの曲が多く、サウンドの肌理や熟成度では「夜の幸」に及ばないものの、かえってとんがったインディーズのような気配が濃くなっていて面白い。(リマスタリングにより、音のショボさは感じない。)
それにしても、原マスミの本質は、アレンジや編成が変わってもほんとにブレないことがよくわかる。楽曲
のみならず、歌唱や演奏などフィジカルな面も含めて、とてもタフなのだ。
夜と月と星と人間の秘密を歌う原マスミはそのタフさによって、稲垣足穂の出がらしみたいな詞と拙いテクの虚弱な文芸ポップスとは次元を異にしていると思う。

もう20年も新作が出ない。90年代にお蔵入りした幻のアルバム、なんとか日の目を見ないもんですかい。大人の事情があるのかな?
6.24.2008
ABIGAIL WASHBURN & THE SPARROW QUARTET

ABIGAIL WASHBURN & THE SPARROW QUARTET

2008 CANADA

バンジョーとVoのABIGAIL WASHBURNと、彼女を含む変則弦楽カルテット(バンジョー×2、フィドル、チェロ)の作品。オリジナルの他、中国民謡など(歌も中国語)。カルテットのみの演奏。
チャイニーズテイストが、サウンドだけでなくデザインワークでも重要なモチーフとなっている。
バンジョーというサスティン音のない楽器が入ると、弦楽カルテットとはいえ、出音の印象は室内楽とブルーグラスの入り交じった不思議な味になる。あるいは歌物のペンギンカフェの如し。テクがあり、知性とユーモアの香るサウンド。

ブルーグラス風味の中国民謡なんか、そのちゃんぽん具合がなかなかぐっとくる。中華な雰囲気出すには、この編成、けっこう合ってるかも。

6.21.2008
eXtraOrdinary rendition

RUPA & THE APRIL FISHES

2008 USA

サンフランシスコのミクスチャーバンド。すべての曲を書く中心人物のルパ・マリア(Vo&G)は両親インド人で、米・印・仏で育ったという女人。
このグループの肝は骨格がロックではないこと。ルパの他、Per、Tp、
UprightBass、Cello、Bayan(ロシアンアコーディオン)というアナログ編成で、ミクスチャーの手札もミュゼット、ジプシー、ポルカ、タンゴなど大衆音楽系がメイン。音響的趣向などオルタナ感は薄い。
ベースの音に顕著だが、SP盤なんかを意識したようなローファイっぽい肌触りのサウンドで、そこがまた大衆音楽風味を高めている。けど、歌は姉御的ワイルド系でなく知的で品がある。
フレンチ系はもっとも血が沸かないんで(もしミュゼットパンクみたいな煽り文句だったら完全スルーだった)、ちらほらするフランス的要素にあまり期待せず試聴してみたら意外と面白かったという。
6.8.2008
aire

Me daras mil hijos

2008 ARGENTINA

アルゼンチンのルーツ系人力バンド。♂Voの歌物。アコーディオン、チャランゴ、ホーン、フォルクローレ的パーカッションなどが印象的。
フォルクローレの空気感と大衆音楽のええ塩梅のミクスチャーといいましょうか。
アンデスの高い空を思わせるフォルクローレ的清澄感が漂いつつも朴訥に過ぎることなく、大衆音楽的人懐こさにあふれた音。
今後も中途半端にエレクトロニクスを導入したりせず、人肌の心地よさをキープしてほしいもんです。
前作もよかった。
6.5.2008
All Hat

BILL FRISELL

2008 USA

精力的ですな。こちらは映画のサントラ。
バックはほぼFRISELL作品ではなじみの面々だし、FRISELLの音楽はどう考えてもサントラと相性よさそうだし、こりゃ実質ソロ新作かと思いきや、オリジナルとは微妙に印象違うんだな。
たぶん、ビジュアルに合わせて作るからだろうけど、オリジナル作品のじわ〜んとにじむような感じに比べて音像のフォーカスが全体にシャープ。映画のシーンを具体的に想起させるような曲調も多い。

短い曲が次々と全31曲。沁みるアメリカの音見本市といった趣で、とても私好みであります。
6.1.2008
HISTORY,MYSTERY

BILL FRISELL

2008 USA

管と弦を含む8人編成でのツアーを中心としたライブ盤。
BILL FRISELLのライブ盤というと最近ではギタートリオのものがあったが、あのギター全開ぶりに比べると、ここではよりアンサンブルが重視されていて、得意技の幽玄ループもやや抑え気味。

カントリーやルーツ系、あるいはグッドタイムミュージックとしてベタなことは一切していないのに、過去から現在まで、田舎から都会まで、あらゆるアメリカの愁いがにじみ出すような、まぎれもなくアメリカな(と思わせる)音は 、どんなバンド編成でも
FRISELLならでは。
「昔、謎」とはずいぶん直球かつ大仰なタイトルだが、なかなかどうしてタイトルに負けぬ味わいと不思議さのあるサウンドじゃなかろうか。
5.30.2008
BREU

LENINE

2008 BRASIL

ブラジルオルタナの巨人、犬顔のおじさんレニーニの新作。といってもGRUPO CORPOという舞台(前衛的なダンスですか?)のための音楽で、基本インスト。
インストとしても成立しているんだが、ついついそこにレニーニの歌が載ってきたらどうだろうと想像してしまう。てか、歌が載ってきてもおかしくない曲。
サントラや舞台音楽専門のコンポーザーとちがい、レニーニはまず歌物の人なんだろうと思えるし、同時に、SSWでありながらも楽曲のメロディ以外の要素に注がれるオルタナ的センスが並でないということが再確認できる。

純正オリジナルの新作が待ち遠しいもんです。

5.20.2008
ESCUELA DE VUELO PARA ANFIBIOS

SAMI ABADI

2006 ARGENTINA

アルゼンチン音響派などとも関係の深いバイオリン奏者のソロ作。
アンビエントなインストだが、バイオリンが特に目立つわけではなく、トータルなサウンドメイキングに非凡なセンスを発揮している。

アンビエントとはいったが、延々とスロー&ダウナーで眠気を誘うものとはちがい、生楽器を多用した淡くチャーミングな調べがあらわれては消えあらわれては消え、ひたすら耳に心地よい時間が続くのであった。
この、退屈で眠くなるのとは対極の、気持ちよさの持続する感じ。ペンギンカフェオーケストラを思い出した。ペンギンカフェの音はこれよりずっとりんかくのはっきりした器楽だけど、結果的に異常なリラックス効果を生んでるという点で似てるんじゃなかろうか、と。
5.20.2008
VIAJANTE

TREMOR

2008 ARGENTINA

エレクトロニクスにチャランゴやケーナ、アコーディオンなど生のフォルクローレインスツルメンツが絡むエクスペリメンタルミュージック。
HMVではワールドミュージックのフロアになかったけど、今どきは広義のエレクトロ二カに分類されるのかな。

エレクトロニカってどうも相性悪くて、よくある箱庭どころかノートPCの中だけで閉塞してるようなヌケのなさが苦手なんだけど、この作品の音はしっかりヌケがあって気持ちいい。
たぶんこの人たちは、エレクトロニクスも操るけどそれ以前に生楽器の演奏技術とかの音楽的下地がちゃんとあって、その上での両者の融合なんだろう。対して、楽器やらずにDTMから入った人ではいくらサンプリングやエディットのセンスに優れていても、なかなかこういう音響が出せないんじゃないかって気がする。
レトロフューチャーでもないけど、なんかアナログな肌ざわりのあるデザインも南米オルタナって感じで好き。

5.20.2008
A MAD & FAITHFUL TELLING

DEVOTCHKA

2008 USA

コロラド州デンバーの4人組。ヴァイオリン、トランペット、アコーディオン、スーザフォン等のロックっぽくない楽器が活躍する。基本歌もの。
これでキャレキシコを手がけたCraig Schumacherプロデュースときたら、乾いたオルタナルーツ系かと思えばそうはならない。
よく東欧の影響をいわれているが、じゃどこが東欧かといったら、変拍子バリバリでもなく、ラフ&ワイルドでもなく(むしろ品よくまとまってるし)。ならチェンバーロックかっていうと、さほどチェンバーでもロックでもなく。音は、ジャケのイメージほどには、もろ東欧ではない。
ただ、
全体に漂う湿り気のあるメランコリーは東欧的というとたしかにしっくりくるな。そのりんかくの曖昧さがストレンジな魅力になっているといいますか。
アメリカのアーティストが東欧テイスト採り入れるケースって、俺的には薄味で物足りないことが多いんだが、このバンドはなんとも微妙な加減の味わいを出していて面白い。
5.18.2008
モノポリーズ

モノポリーズ

2008 JPN

4人組インディーズバンドのアルバム。♀Vo、ベースレス、チューバやバンジョーが入る。
Voの声質、フェロモン系ではまったくないんだが、不思議にきわどく色気が保たれている。意外に牧歌的ではない、昔の歌謡曲のようなタフさと艶が漂う詞曲の所以だろうか。

和物自主盤というと往々にして、ある程度割り切って聴かないことには、音の細さが気になるものだが(メジャー作品や輸入盤のしっかりした録音に比べてね)、こっちはそもそものめざすところがすき間の多い音だからか、聴いてるうちにそれも含めて味わいに思えてくる。
小島麻由美ノンシュガーローカロリー版ちょいスカ風味、とか。
5.18.2008
Reminiscence

庄野真代

2008 JPN

飛んでイスタンブールなど自分の代表曲の他、女性物ニューミュージック有名曲(異邦人、わかれうた、なごり雪、迷い道等々)のカバー集。
つまるところ流行りの企画ってことだが、これは拾い物。
俺昔から庄野真代のかすれ気味の声が好きなんだが、その声が衰えていなかった。まず、それが最大のポイント。
全編曲とサウンドプロダクションを小田裕一郎が手がける(松田聖子の青い珊瑚礁作った人っすな)。すべて打ち込みベースのジャジーなアレンジ。原曲に対して、画期的というほどではないが、きちんと新解釈がされており、やっつけ感はない。これ大事。
結果、もはや終了後の人がカバーブームに便乗して一発、ではなく、現役の雰囲気がキープされている。カバーも好きな曲多くて得した気分。
5.18.2008
SONIDO AMAZONICO!

CHICHA LIBRE

2008 USA

NYで活動するラテンミクスチャーバンド。インストと歌物。カバーとオリジナル。
整理された音と落ち着いた演奏。醒めてはいないが熱くはじけることもなく、“中”のボルテージがキープされる。
なんつーか、企画物のインストカバーアルバムとか観光施設での営業ステージの如きフェイク感が漂っているんだが、それが安っぽさのみに直結しておらず、非ネイティブ(多分そうだよね)の演るラテンに怪しい風味を与えている。
ギターとオルガンの音色が快く、ジャストなリズムのパーカッションもいい感じ。
かのORQUESTRA IMPERIALと同じく有名曲POPCORNのカバーもあり。こっちのギターフィーチャーのアレンジもなかなかの味わい。
4.26.2008
Alive At Tonic

KOT KOT

2008 USA

NYダウンタウン系。Dr、G、Per、B という編成でのライブセッション。
ジャケにEXOTIC-HELLISH SURF GARAGE WORLD JAZZというコピーがあり、まぁそんなような音。演奏レベルはともかく、こういう方向のミクスチャーってだけなら、今日びさほど目新しくはないわけで。
俺的聴きどころは、なんつってもマークリボーのギター。
最近はフェイクキューバものとか、ストイックなソロ、あるいは他人のプロジェクト内での役割をまっとうする姿ばかりだったんで、変態ギター炸裂ぶりがなかなかよかった。
4.23.2008
the secret life

NEW BLOODS

2008 USA

Vin、B、Drという変則ガールズトリオ。ガールズっても、そうとうたくましい姉ちゃんたちだけど。
全員が歌い、そのコーラスワークはバンドサウンドを特徴づけるけっこう大事な要素になってる。
で、その音っていうのが、とっても80's new wave。
当時、今でいうトライバルなテイスト(主にアフリカとかジャングルノリですな)は、ロックにとって実に魅力的なスパイスで、それを採り入れた new waveバンドはたくさんあった。でも、凡百のバンドはそれを音楽的に消化しきれず、そのうえ演奏技術がついていかず、リズムがギクシャクズンドコしてしまったものだった。まさに、あの頃を思い出させる音。(因みに当時のロック界で、最高レベルで消化/アウトプットしたのがトーキングヘッズだと思っていただきたい。)
でも、そんなズンドコノリもかなり味として楽しめる体質の俺なので、これは全然OK。
4.23.2008
dirtmusic

CHRIS ECKMAN・HUGO RACE・CHRIS BRAKAW

2007 GERMANY

ルーツミュージック系のキャリアをもつ3者によるプロジェクト。ドイツのレーベルから。
近頃はタワレコでも、オルタナカントリーに加えてアメリカーナなんて分類も登場して、ルーツ系の認知度も高くなってるんだなと思うけど、そこで紹介されるのは歌唱力の高いSSWとかキャリアのあるバンドとか、カントリー界では傍流でこそあるものの音的には実力派本格派ばかりなようで、俺みたいなミクスチャー〜異端好きにはちと敷居が高いなとも思っとったわけです。
そんなところへ、これ。
カントリーの土俵ではなく、(広義の)ロックのフィールドからカントリー〜ルーツミュージック寄りの音を出す人たち、キャレキシコとかに近い立ち位置か。キャレキシコから砂埃を払い落とした感じ?
凝った音響や編集はなく生演奏主体だが渋すぎず、落ち着いてる中にもほどよいオルタナ感があり、いい塩梅。dirtmusicってネーミングもいかす。
4.19.2008
ANTIDOTES

FOALS

2008 UK

UK・オックスフォードの5人組バンド。期待の新人らしいっス。
ミニマルなリフが重なっていくような構造のノリのよい曲、アフリカンなギター、もろニューウエーブな歌唱(つぶやかず、がなりたてず、でも素っ頓狂)、音響的な味付けも少々。
やってることはけっこうハードなのにストレンジ&ユーモラスな雰囲気が漂うあたり、バトルズの近作アルバム“MIRRORED”にちょっと似てるなと思ってたら、謝辞?クレジットにバトルズの名が。影響あるのかな。
俺の求める人力系ポストニューウエーブものとして、なかなかにストライク。サイケ、シューゲイズ、フォーキー等々ノーサンキューという偏食なもんで、なかなか好みに合うバンドに巡り会わないんだな。しかもUSじゃなく
UKからとは、さらにレア。
アルバム通して聴くと、曲のバリエーションに欠けるうらみも若干あるけれど、それを勢いで押し切るところもある意味往年のニューウエーブっぽいかね。

4.6.2008
Surfin' USSR

FARMERS MARKET

2008 USA

ノルウエーのジャズ出身ミュージシャンが中心となったミクスチャー系インストバンドの新作。
この人たちの過去作は東欧テイストが持ち味という情報にひかれて聴いたところがどうも物足りなかったのだが、今回はタイトルやジャケからしてロシア風味かとちょっと期待して聴いてみたらばロシア的には思い切りスカされたのだが、アルバム後半になって東欧的高速リフ&変拍子の曲が連発されてなかなか気持ちよかったのだが。
北欧系のお人柄だろうか(saxはブルガリア人だそうだが)、東欧系独特のえぐみというかラフ&ワイルドでハードエッジな香りは薄めで、手堅くまとまってる印象がある。過去作ではそこいらへんが物足りなく感じられたのだろう。
東欧云々にこだわらず、ちょっと変わったハイテクインストものとして聴けば、思わぬ拾い物って感じの今作でした。

3.25.2008
Lucifer Book of Angels Volume10

John Zorn Bar Kokhba plays Masada Book Two

2008 USA

肩書きが長くて何が何やらだが、要するに、多作なジョンゾーンの率いるプロジェクトのひとつ。
Bar KokhbaはマークリボーG、ジョーイバロンDrらを含むNYダウンタウンの精鋭チームで、過去にライブ盤はあるがスタジオレコーディングとしては初作。ゾーン自身はプレイせず、全作編曲とコンダクト、プロデュースに専念している。
楽曲はユダヤルーツにラテンをはじめ種々の風味がまじる妖美なチェンバーミュージック。バイオリン、チェロ、ギターの麗しい音色が印象的で、締まった演奏には最後まで退屈しない。

ゾーンの新プロジェクトDreamersのアルバムもほぼ同時にリリースされており、エキゾポップインストなあっちのほうがポピュラリティ高そうだが、俺はこっちが好き。
3.20.2008


2007年9月〜2008年2月

uwatzlla@visitor2.jp


※英語以外の外国語を正しく表示させる技術がないため
(主にアクサンなどアルファベットに付く記号のことですが)
ただのアルファベットのままでお茶を濁してます。
ことにラテン系のアーティスト名や作品名は不正確になること、
承知いただきたし。